半年後に「リーマンショック級の金融危機」あるか 過去の金融危機からアメリカが学んでいること
そして、リーマンショック後に整備された――公衆の強い批判を受けやすい、納税者等の負担に基づく救済である「ベイルアウト(Bailout)」ではなく――、危機時に“問題化した金融機関”の株主・債権者による損失負担がされる「ベイルイン(Bail-in)」が、機能した。
具体的には、バーゼルⅢ(金融規制に関する2010年国際合意)において、自己「資本」の向上として整備されたAT1債(Additional Tier 1債:永久劣後債)は、今般のクレディ・スイス買収に当たり全額無価値となり、損失吸収力を発揮した。(この点、一方、株式は約6割減価で済んだため、順序が逆ではないかとの批判はある。)
今般、シリコンバレー銀行、そしてそれを若干上回る規模であったファースト・リパブリック銀行の破綻は、「アメリカ史上2番目の規模」とされたが、史上最大は、(リーマンショック時の)ワシントン・ミューチュアル破綻である。
リーマン破綻が史上最大ではない理由
ここで読者の皆様は、あれ?と思われたかもしれない。なぜリーマンショックという危機名にも掲げられ、世界を震撼させたリーマン・ブラザーズ破綻が史上最大ではないのか?――ここには、何を「銀行」と呼ぶかという範囲・定義の問題がある。
具体的には、「商業銀行」と「投資銀行」の違いである。リーマン・ブラザーズは、アメリカ「投資銀行」4位行であった。しかし、投資銀行とは、日本では証券会社に該当する。
アメリカでは、株の売買だけでなく、新株・社債の発行や資産流動化、更にはM&Aを含めた財務全般のアドバイスを幅広く手掛けており、インベストメント・バンク(Investment Bank:投資銀行)とは総称されるが、預金は有しない。伝統的な預金取扱金融機関である「商業銀行」(=本来の銀行)とは別物である。
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