「うつ病の原因は疲労」と言えるこれだけの理由 「うつかも」と思ったら心を強くする必要はない

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例えばお酒。1段階であれば、お酒を飲むストレス解消法も効果的かもしれません。ただ注意したいのは、お酒が睡眠の質を下げてしまうこと。

2段階では、不安や自信の低下、自責の念などでいつもよりつらくなり、それを紛らわせるためにお酒を飲みたくなります。しかし、2段階疲労の回復にはいつもの2倍の時間がかかります。

それなのにお酒を飲んでしまうと、一番の回復薬である睡眠の質が低下し、回復が妨げられてしまうのです。

疲労が回復しないので傷つきやすさは変わらず、またお酒でそのつらさをごまかしたくなる……。そんな悪循環を続けていると、いつの間にか3段階に落ち、本格的なうつになってしまうこともあるのです。

3段階は、同じ刺激に対し3倍ショックを受け、3倍疲労し、回復まで3倍の時間を要する状態。そうなると日常生活を送ることが難しくなってしまいます。

お酒にかぎらず、自分のストレス解消法が本当にプラスになっているのかどうかを冷静に振り返ってみましょう。

Point
間違えるとさらに疲労をためることに……。
ストレス解消法には要注意!

疲労をためすぎると「別人化」する

疲労がたまり3段階に突入すると、2段階で感じていた体調不良、不安、自信の低下、自責、そして疲労がさらに強まります。

ついには「自分などいないほうがいい」「消えてしまいたい」「死にたい」と考えることもあります。元気なときには考えられない思考・感情に陥ることから、私はこの状態を「別人化」とも呼んでいます。それほど、普段の自分とはかけ離れた状態だと考えてください。

「別人化」してしまうと、回復するためにはかなりの期間、具体的には数カ月〜数年の休養が必要になります。

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また、元気なときはストレス解消や気分転換のために飲んでいたお酒。2段階では逆効果でしたが、3段階に進むに従って、次第に“なくてはならないもの”になってしまう場合があります。これは依存症的な状態で、「しがみつき」と呼んでいます。

のめりこむ対象はお酒以外にも、買い物やギャンブルなどもあります。1段階であれば、お酒、買い物、ギャンブルなどは快感を生み出しますが、2~3段階ではつかの間の快感が薄れた後に、強い自責感と不安が出てくるのです。そしてそれを忘れるためにまたお酒を飲んでしまいます。つまり楽しいから飲むのではなく、苦しいから飲むお酒になってしまうのです。

このように、一瞬楽しいことをしていてもその後自分を責めて、八方ふさがりのような感じになり、「死にたい」「いなくなりたい」という感情が出ていたりしたら、疲労はかなり深刻な状態。

ここまでくると自分だけでの対処が難しくなるので、他者にも助けてもらいながらこの状態からの復活を目指すことになります。

下園 壮太 メンタルレスキュー協会理事長、元・陸上自衛隊衛生学校心理教官

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しもぞの そうた / Sota Shimozono

1959年生まれ。82年防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊入隊。陸上自衛隊初の心理幹部として多くのカウンセリングを手がける。大事故や自殺問題への支援で得た経験をもとに独自の理論を展開。陸上自衛隊衛生学校で、衛生科隊員(医師など)に対する教育に携わってきた。2015年に退官。現在は、NPO法人メンタルレスキュー協会理事長を務める傍ら、講演や研修会で、独自のカウンセリング技術を普及。著書は『うつからの脱出』(朝日文庫)、『心を守る ストレスケア』(池田書店)など多数。

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