就職するなら「老舗企業」がいいと言える深い理由 4万3000社ある「100年企業」に目を向けてみよう

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静岡文化芸術大学の曽根秀一教授の調査によると、江戸時代初期の第25代から第40代までの当主のうち、10人の当主が長男以外、もしくは他家から登用された人物です。

金剛家では直系長男であっても、当主に適任でないと判断されれば当主になれませんでした。また、いったん当主になっても、能力不足と見なされれば解任されて、家から追放されることもありました。

財テクに走らず本業重視

香川県に本社のある小野は1911年(明治44年)の創業で、関東・関西・中四国地区で大型手芸専門店「ドリーム」を101店展開しています。

第3代社長の小野耕一氏は「投資が成功しても失敗しても商売には良くない。土地や株で儲かると現在行っている商売が馬鹿らしくなる。損をしても痛手。また、気になって本業が手につかなくなる。投資に手を出して良いことは一つもない」と常々言っていたそうです。

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小野はバブルに浮かれて財テクに手を出さなかったので、バブル崩壊の影響をほとんど受けませんでした。現在は4代目の兼資氏が社長を務めますが、本業重視で実質借金ゼロの堅実経営です。

住友家の家訓の中にある「確実を旨とし浮利に趨(はし)らず」とは投機的な経営を戒めた文章として有名ですが、住友家に限らず老舗企業が最も重視するのは本業。たとえ家訓になっていなくても、老舗企業には投機を許さない雰囲気があるようです。

「失敗への寛容さ」「実力主義」「財テクの禁止」「本業重視」など老舗企業には共通点があります。当たり前のことを続けてきたとも言えますが、当たり前のことをきちんと実践するのは難しいことです。

国内には多くの老舗企業があります。ベンチャー企業だけでなく、老舗企業にも目も向けることで、皆さんのビジネスや転職の幅が広がることでしょう。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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