就職するなら「老舗企業」がいいと言える深い理由 4万3000社ある「100年企業」に目を向けてみよう

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老舗企業は代々同じ事業を営み、新しいことに手を出して失敗など許されないと思われがちです。しかし、老舗企業は前向きな失敗に寛容です。

お酢、みりん、納豆などで有名なミツカンは、失敗を恐れないチャレンジング企業です。

愛知県半田市で酒造業を営んでいた初代の中野又左衛門が1804年(文化元年)に分家独立し、お酢の醸造を開始したのがミツカンの始まり。

かつてミツカンがビール事業を手がけていたことを知っていますか。

ビール製造には、お酢の製造技術が役に立つので、関連性がないわけではありません。1889年に「丸三麦酒」(まるさんびーる)を発売し、1896年には「丸三麦酒株式会社」を設立しました。一時は国内シェア第5位でしたが、競争が厳しく儲からないと判断し、事業を売却しました。

1971年にはハンバーガーショップ事業を始めました。マクドナルドが銀座に第1号店を出店したのも1971年のことです。ミツカンは「ハンダス」という名前のハンバーガーショップを東京都内中心に展開しましたが、マクドナルドなどとの競争が厳しく約10年後に事業撤退しました。

飲料事業やカット野菜の製造・販売でも失敗した経験があります。ミツカンは老舗企業ですが、前例踏襲型の保守的な企業ではありません。酒造業からスタートしてトライアンドエラーを繰り返しながら今の地位を築きました。

老舗企業ほど実力主義の“なぜ”

老舗企業と言うと、創業家のぼんぼん育ちの長男が跡を継ぎ、優秀でなくても番頭が経営を支える、といったイメージがありませんか。しかし、老舗企業の跡を継ぐというのは甘いものではありません。

例えば、先述の世界最古の金剛組では、分家が継承したり、外部から婿を取ったりしているケースが多いのです。

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