「中学校へは行きません」選択した少女のその後 不登校は自分の一部でしかない

拡大
縮小

どんな私でも 喜んでくれた犬

先が見えず悩んでつらかった時期、私の支えになっていたのは、当時飼っていたミニチュアダックスフンド。学校へ行っている私でも、学校へ行っていない私でも、彼にとってはおなじでした。だから学校へ行けずに落ち込みながら家に帰ってきたときでも、すごく喜んでくれるのです。そんなふうに接してくれる存在は当時、彼しかいなかったので、私の心の支えになりました。

富良野さんの支えになったミニチュアダックスフンド(写真:不登校新聞)

それから、私を1人の人として扱ってくれる大人の存在も支えになりました。学校の先生には、どうしても「不登校の富良野さん」という見方をされ、どこか腫れ物にさわるようだったり、最初からこの子は問題を抱えている生徒、と見下されていると感じることもありました。でも幼いころからお世話になっていた学童の先生は、私の状況に関係なく向き合ってくれました。認めてくれるだけではなく「それはちがうと思うよ」と怒られたこともあります。趣味として通っていた、フラダンス教室の人たちもふつうに接してくれました。

「不登校の富良野しおん」という視点を持たない人と早めに出会えたことは、ありがたいことでした。それは、不登校というフィルターを通さず接してくれる人が近くにいることで、私自身も「不登校の私」から抜け出すことができたからです。「不登校は自分自身ではない。一部であって、全部ではない」と、自分のなかで思える1つのきっかけになってくれました。そういう人たちの存在は、自分を手放さずにいられるお守りみたいなものだったと思います。

不登校の関連記事
「朝早く起きて」 結果だけを求める親の一言で不登校の子どもが変わらない理由
不登校対策は今後どう変わるか 文科省が公表した「COCOLOプラン」を解説【全文公開】
不登校のきっかけが不幸な出来事とはかぎらない

不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

公式HP 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT