セールスは「おはようございます」や「お世話になっております」といった挨拶と同じ感覚で「よろしくお願いいたします」と言っているのに、顧客には違った捉え方をされてしまうことがあるようです。そのように捉えられる可能性があるのであれば、避けておいたほうが得策です。
では、5%セールスは何と発して商談をスタートしているのでしょうか? 録画・録音データを分析したところ、「感謝・ねぎらい」からスタートする確率が95%セールスよりも2.4倍も多かったのです。
「本日はお時間いただき、有難うございます」
「暑い中お疲れさまです」
といった発言が多く、無意識に相手の気分を高めて対等な関係を築こうとしているように思えました。
こうした「感謝・ねぎらい」によって成約率に直接影響を与えたかは分からないものの、成果を出し続ける5%セールスに共通する習慣であることは事実です。
社名だけでなく相手の「名前」を発する
5%セールスの商談で特徴的なのは、相手の名前を呼ぶ傾向が高いことです。しかも興味深いことに、会社名だけでなく目の前の相手の名前を呼んでいるのです。
例えば、「トヨタ自動車さん、本日はお時間いただきありがとうございます」ではなく、「トヨタ自動車の吉田さん、本日はお時間いただきありがとうございます」と呼びかけているのです。
取引経験が少ない顧客との商談では、会社名しか言わないセールスが多かったのに対し、5%セールスは確実に相手の名前を呼びかけていました。5%セールスが名前を呼ぶ比率は、95%セールスに比べて1.8倍も多かったのです。
「商談をしているのは、会社対会社である前に、人対人である」
そう言い切る5%セールスもいました。
オンライン商談ではカメラをオフにしている顧客も多いことから、相手の名前を呼びかけることで当事者意識を持ってもらうようにしている、と話す5%セールスもいました。
名前を呼ぶことで、相手の集中力を高めることもできます。
名前を呼ばれるとドキッとして緊張感が高まり、集中して話を聞こうとするのです。
完全にリラックスした状態よりも、多少緊張している状態のほうが話を聞いてもらえるのです。
管理職等を対象にしたトップ5%リーダーの調査でも同じような声がありました。メンバーのやる気をあてにせずに行動を継続する仕組みづくりに励む5%リーダーは、会議の冒頭でアジェンダと参加者の名前を読み上げて、会議中の内職率を3分の1以下に改善させていたのです。
オンライン商談は、訪問型の対面商談に比べて緊張が緩みがちです。他の仕事が気になったり、ネットニュースやSNSを眺めてしまうこともあるでしょう。
そんな状況を察して、相手に“傍観者”ではなく“当事者”になってもらうために、名前を呼びかけて、しっかりと対話しようとしていました。
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