トヨタ、佐藤新社長就任で「広報戦略」激変の訳 テレビ重視の姿勢と、その背景にある「狙い」
今回のトヨタの対応からは「日経をはじめ、どのマスコミも特別扱いはしない」という強烈なメッセージが感じ取れる。
「テレビ重視」の姿勢も鮮明になった
そして最後の「新しさ」は、「テレビ重視を鮮明にしている」点だ。今月21日にNHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビと全テレビ局で、佐藤新社長のインタビューが報じられた。これらはいずれも各局の「単独」インタビューだった。
一方、新聞は日経、朝日、読売、毎日、産経、ブルームバーグなど、「共同」でのインタビュー。テレビは全局「単独」なのに、新聞は「ひとまとめ」の対応だったのだ。
もうひとつ「テレビ重視」を感じさせたのが、情報解禁日の設定である。テレビが佐藤新社長のインタビューを「一斉に」報じたのが、今月21日夜だった。新聞もネットでは21日の19時に記事を配信しているが、看板である朝刊では翌22日の掲載だった。
視聴者や読者にとっては、夜と朝ではわずか数時間の差にすぎない。オンラインも含めると「同着」と言えるが、とくに新聞にとって、この差は決して「わずかなもの」ではない。
「21日に各社のインタビューに応じたのなら、テレビは当日の夜、新聞は翌朝になるのは当たり前」と思われるかもしれない。だが、インタビューの映像や記事を見れば、取材が行われたのが21日ではないのは明らかだ。
TBSの画面には「今月中」というテロップが映し出されていた。もし21日に取材して、その日のうちに放送したのなら当然、「今日」と出すはずだ。「今月中」ということは、「取材は数日前」だと意味している。
22日朝刊の日経新聞の記事でも、「21日までに報道各社の共同インタビューで言及した」との一文がある。つまり新聞の取材も「21日ではない」ということだ。こうした事実から、「インタビューは数日前だが、情報解禁日は21日夜以降で」と、トヨタ側で判断したことが伺える。
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