「台湾パンダ」が安楽死、新たな受け入れ巡る論点 団団の体調不良時には中国の専門家が訪台
台湾の蔡英文総統(与党・民進党)と馬英九前総統(最大野党・国民党)が外遊を終えて、2023年4月7日に台湾へ戻った。米中対立が激化する中、蔡英文総統は3月29日からアメリカを経由して中米2カ国を訪問。馬英九前総統は3月27日から中国を訪問した。台湾の総統経験者として初めての中国訪問だ。
馬英九前総統といえば、総統となった2008年に台湾で初めてジャイアントパンダを受け入れた人物だ。
中国は1981年にワシントン条約に加盟し、1984年に同条約でのパンダの分類が変わって国際的な商業取引が禁止された。それを機に、中国はパンダの「国外」贈与をやめて、繁殖研究などの目的で貸与するようになった。台湾への贈与は、台湾を「国内」とみなすことだという考えもあって、台湾の政権はパンダの受け入れを拒んできた。
だが2008年の台湾総統選で中国との融和を目指す馬英九政権が発足すると、パンダの受け入れを決定。書類上は国際移動にも国内移動にも読める曖昧な形にして、同年12月23日に中国から台北市立動物園へ2頭のパンダ、雄の団団(トゥアントゥアン)と雌の円円(ユエンユエン)がやって来た。
団団は2022年11月19日、18歳2カ月で息を引き取った。発作を繰り返し、薬が効かなくなったことなどを踏まえた安楽死だ。
脳に悪性腫瘍の疑い
団団に異変がみつかったのは2022年8月23日。てんかんの発作とみられる症状が出た。国立台湾大学の付属動物病院で9月18日に脳のMRI(磁気共鳴画像装置)検査をすると、左の大脳半球の一部が液化壊死していた。右の大脳半球にも似た病変がみつかった。
10月1日~10月15日は発作が起きず、食事量や活動量は回復した。ところが10月16日から団団の後ろ足の動きが鈍くなり、食べる竹の量は、健康だった頃の半分以下に減った。
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