ビジネスができる人は「値決め」をわかっている きちんと儲けるための「値決め」の仕組みを解説
前回の記事にも記載しましたが、直接原価計算が管理会計に向いている理由は、コントロールできない変動製造原価(変動費)とコントロールできる固定製造原価(固定費)に分かれているからです。
ここであらためて、変動費と固定費について説明します。
変動費とは、売上高・生産高に比例して増減する費用です。
固定費とは、売上高・生産高がゼロでも発生する費用です。
そして、限界利益とは、英語でmarginal profitといいます。Marginalの名詞marginは、商業における利ざや・マージンです。
利ざや・マージンは、売価と原価との差です。ですから、限界利益は売上高―製品原価(変動費)です。また、限界利益は固定費+利益と表すこともできます。
つまり、限界利益は固定費の回収に貢献します。これにより貢献利益ともよばれます。事業や商品の黒字化を考えるとき、限界利益に対するこの2つの考え方を押さえておくとクリアになります。
総原価は、原価の3要素(材料費、労務費、経費)と販管費で構成されています。これらを固定費と変動費に分解していくと下記の図のようになります。
(外部配信先では図などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
ここでお気づきかと思いますが、経費は固定費と変動費両方ともに入っています。厳密に分けるのが難しいため、ここでは経費の項目の半分のところにラインを引いています。
実務では、仕入れ高や材料費、外注加工費などの金額の大きな費用のみを変動費とし、それ以外は固定費として取り扱う場合もあります。今回もそういった分け方で説明します。
限界利益の総和が固定費を上回るように値決めをする
値決めで絶対に守らなくてはならないのは、変動費以下の価格をつけないことです。
売上高<変動費とは、仕入れた材料よりも安く売ることですから赤字が確定してしまいます。
ですから、変動費をしっかりと割り出し、それを上回る値段をつけることで、限界利益が得られます。
もちろん総原価以上の値決めをすれば確実に利益はとれます。たとえば、他社が真似られない特殊な技術を持っている商品や、供給をはるかにこえる需要がある商品の場合には、総原価以上の値決めをすることで、利益を増やしていくことはできます。
しかし、競合は必ず現れますし、これだけ物にあふれている時代に、供給をはるかに上回る需要のある商品をつくることは至難の業でしょう。
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