日本版「ゴット・タレント」第2の安村の発掘なるか 有名オーディション番組の日本版が世界に挑戦

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ただ、日本版を制作するにあたって、次の点は意識したと話す。

「世界へ輩出するということが前提ですから、ノンバーバル系のパフォーマンス……たとえば、ダンスや大道芸など、言葉を話さなくても海外で成立するか否かは、予選の段階でポイントにしていました。ただ、歌に関しては他国の『Got Talent』を観ると洋楽ばかりだったので、我々としては邦楽を歌うパフォーマーも選出しようと決めていました。そういった“日本らしさ”が、日本版のオリジナリティーにつながっていくと思っています」(神夏磯さん)

実際、『Japan’s Got Talent』では、44歳の男性シンガーが、MISIAの「逢いたくていま」を歌い上げた。しかし、ただ単に歌が上手いだけでは、審査員から支持されるわけではないのが『Got Talent』だ。観る者を驚かせる、あるいはもう一度見たいと思わせるようなパフォーマンスがなければ、次のステージへ進むことはできない。

そのジャッジを下す審査員を務めるのが、ダウンタウン・浜田雅功、GACKT、山田孝之、広瀬アリスの4名だ。谷口さんに、選出の意図を聞くと――。

「厳しい目線で、世界水準のエンターテインメントを自分の言葉で語れる人。また、一般の方が一夜にしてスターになるパッケージですから、参加者の皆さんが最大限のパフォーマンスを発揮できるように、気遣いや優しさみたいなものがにじみ出る方を審査員にしたいと思っていました。そのうえで、視聴者が「この人たちが選ぶのであれば納得」と思えるような説得力のある方。さまざまな方が候補に挙がる中で、『Japan’s Got Talent』にふさわしい4名を選出できたと思います」

『Got Talent』は、審査員たちによる歯に衣着せぬ辛辣な発言も番組を盛り上げる大きな要素になっているが、「審査員の方のご負担というのは大きかったと思います」と神夏磯さんは付言する。

「セリフ台本は一切ありません。構成こそ決まっていますが、中身は決まっていない。しかも、パフォーマーの人生を左右しかねない。コメントにも、とても気を遣われたと思います。MCを務めたかまいたちの2人は、収録後はげっそりして帰って行ったくらいでした(笑)。実際にやってみて、あらためて『Got Talent』というコンテンツが特別なものだと痛感しました」(神夏磯さん)

記念すべき初回の栄冠に輝いたのは、1人でカウンターテナーとテノールとを歌い分ける、両声ヴォーカリストのマリア・セレン(Maria Seiren)さんだった。

ゴッドタレント
優勝したマリア・セレンさん。男声と女声を歌い分ける両声のヴォーカリスト【(C)Japan's Got Talent】
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