日本版「ゴット・タレント」第2の安村の発掘なるか 有名オーディション番組の日本版が世界に挑戦

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昨年、ABEMAが「FIFA ワールドカップ カタール 2022」の予選を含む全64試合を無料生中継したのは記憶に新しいところだろう。資金力と勢い、さらには視聴者投票といったユーザーインターフェースを考慮したとき、「ABEMAさんならご賛同いただけるのではないかと思った」と明かす。

実は、吉本興業がフォーマット権の取得に乗り出したのは、2018年だったという。しかし、世界的な新型コロナウイルスの流行によって足止め。昨年9月にコンテンツ化の正式発表と、参加者の募集を開始した。

ゴッドタレント
決勝進出を果たした帝塚山学院ダンス部。日本高校ダンス界最高峰のパフォーマンスを見せた【(C)Japan's Got Talent】

番組を制作するにあたって、「日本版のテンションや温度感に適した会場の熱をいかにして作り上げていくかは課題の一つだった」と振り返るのは、サイバーエージェントの執行役員/ABEMA編成局長兼制作局長の谷口達彦さんだ。

『Got Talent』は、オーディション参加者たちの驚異的なパフォーマンスはもちろん、大勢の観衆が見守る舞台装置や派手な演出も大きな見どころだ。たとえば、スタンディングオベーションなどのセレブレーションは、同番組ではおなじみの光景だが、日本では習慣がない。そうしたギャップを乗り越えることも、「テーマだった」と教える。

番組を視聴した方ならわかると思うが、ふたを開ければ、『Japan’s Got Talent』は本家に引けを取らない盛り上がりを見せた。

その一方で、なじみがないからこそ、欧米的な盛り上がりに戸惑った視聴者もいるかもしれない。だが、 神夏磯さんは、「あまり日本の視聴者に寄せなくてもいいかなと思っています」と話す。

「何か新しいものを持ち込むときって、お客さんが慣れていくのを待つことも大事だと思うんですね。2回、3回と続けていく中で、視聴者が新しい楽しみ方を覚えていく。僕らやABEMAさんが見せたいものは「こういうものなんです」ということを伝えていく過程にあると思っています」(神夏磯さん)

「地上波的な作り、たとえばテロップや演出技法ではなく、世界に向けて発信していくための映像品質を意識しました」(谷口さん)

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