「限界でもやれ」頑張り方間違えたコンサルの盲点 クライアントが真に求める「最適解」を導く方法

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社内であったとしても最低限のマナーとして、広く公開されている基本的な事例に関する情報等は自分自身で調べてから、ヒアリングに臨むようにしよう。自分で何も勉強してこない相手にレクチャーするのはどんな人間であっても気乗りがしないものだ。

有識者ヒアリングのコツは、最初からアウトプットを意識した聞き方をしにいくことだ。具体例で示そう。

クライアントが「自社のサービスを利用してくれている人との接点をどのようにすれば良いのか困っている。他社はどのようなCRM(顧客関係管理)の仕組みを導入しているのか知りたい」という漠然とした悩みを抱えているとしよう。この時、このオーダーをそのまま社内の有識者に対して横流し(スルーパスと呼ばれる)してはいけない。聞かれた有識者もなんの目的で何を話せば良いのかがまるでわからないからだ。

有識者に「本当に聞くべきこと」

この事例の場合、ヒアリングの前に以下の要素をクリアにしておきたい。

1 クライアントはそもそもなぜその情報を知りたいのか? 顧客からサービスに対するクレームが多発しているのか、それともサービスの売上を上げるために、既に社のサービスを知ってくれている顧客に対してクロスセル(別の商品もセットで売ること)・アップセル(上位モデルを売ること)の提案ができるようになりたいのか。

2 その情報はクライアント先でどのような使われ方をするのか? どの会議で使われるもので、スピーカーは誰で、その人はその会議でどのように喋りたいのかを確認する。

3 どのような事例であれば1と2の要件を満たす事例になるのかを、以下のように具体的に文書化する。

ヒアリングの背景:国内のソフトウェアを販売しているクライアントにおいて、売上を上げるために既存の顧客に対して、クロスセル・アップセルを行いたいが、現在は顧客データの管理が一元的になされておらず、誰がなんの商品を利用してくれているのかを会社として把握できているとは言い難い。

欲しい事例:国内において、同様に顧客のデータが社内の各部署に点在してしまっている状態から、そのデータを統合し、クロスセル・アップセルを実現して売上を向上させたようなCRM高度化の事例があれば伺いたい。

このくらいの精度の情報があれば、いわゆる社内の有識者も、なるほどではこれとこの事例を紹介しましょうか、というように、話すべき内容の“あたり”が的確につく。

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