「限界でもやれ」頑張り方間違えたコンサルの盲点 クライアントが真に求める「最適解」を導く方法

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さて、仕事を頑張るべきかどうか? と問われたら、多くの人が疑いなくYESと答えるのではないだろうか。私だってそう思う。1日の3分の1以上の時間を費やす仕事だ。せっかくやるなら頑張りたいし、誰かの役に立ちたいと願う。

しかしここで一つ冷静に考えてみたい。そもそも仕事を頑張るとはどういうことなのだろうか。大量の仕事を徹夜でがむしゃらにやることだろうか。確かに時に無理をしなければいけないこともあるだろう。

しかし、恒常的に睡眠不足が続いていて休日を寝つぶし、ましてや酒に溺れて国道の中央分離帯で目覚めるような状態は、どう考えても持続可能な状態ではない。対クライアント同様、自分自身の健康維持にもコミットしてはじめて“仕事は頑張れる”のである。

クライアントはなにもコンサルタント個人に対して体を壊してまで働くことを求めているわけではない。納期通りに、予算通りに、品質の良い提案をコンサルティング会社から受け取ることができれば良いのであり、“僕が徹夜で頑張った”資料がほしいわけではない。

逆にいうと、どんなに一所懸命にやった仕事であっても、納期・予算・品質の3つが期待値に合わないのであれば、クライアントにとってその仕事は不十分なものでしかない。自分自身の限界を勝手に会社の限界にしてしまうことは、クライアントのみならず自分を含めた関係者全員を不幸にしてしまう、裏切り行為なのだ。

では、会社としてクライアントに価値提供するための「正しい頑張り方とは何か」を具体的に考えていきたい。

既に答えがある問題を自分で解いてはいけない

コンサルティング会社に対して支援を依頼するクライアントは、世界あるいは日本有数の大企業であることが多い。少々乱暴な言い方をすると、現代の大企業における経営アジェンダやDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈において今後実施しなければいけない課題は自ずから似通ってくるものだ。

例えば大人数の営業部隊を抱えている会社であれば、どのようにして営業効率を高めるか、が問題になる。大人数のコールセンターを抱えている会社であれば、コールセンターの生産性(一人当たりが処理できる問合せ数)と顧客満足度をどのように高めるかが問題になる。そしてそのような問題に対して、ビジネスの世界で一般的にどのようなソリューションを行うべきか、王道とも言える施策が存在する。

患者の症状や検査の結果を見て、医師によって処方する内容が大きく異なることがないように、クライアント企業の特定の課題に対してコンサルティング会社が打ち出す施策も王道とされるものが確かに存在する。

もちろんクライアント企業の個別の事情に応じて処方内容にチューニングは必要だが、それは王道を踏まえた上での細やかな調整となる。これを知らずして、顧客の課題の一つひとつに、自分の頭でゼロから解決策を考え出そうとすると、時間はいくらあっても足りなくなってしまう。

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