「限界でもやれ」頑張り方間違えたコンサルの盲点 クライアントが真に求める「最適解」を導く方法
社内有識者の頭脳を余すところなく使うことができ、王道となるアプローチを概ね理解できた時、そこではじめて自分の脳みそをしっかりと使うタイミングがやってくる。個別のチューニング――つまり王道だけではクライアントが抱えている問題を解決できないかもしれない領域の見極めにこそ頭脳をフル活用したい。
社内の有識者を含めた議論では、一般的な事例に照らして、このクライアントもこういうことが問題になるだろう、という点が話される。これは有識者が広く業界を見ているが故にそうなる。ここに一味加えるのは、実際に日々クライアントと顔を合わせて現場を理解している人間の仕事になる。
クライアントの求める「ベストソリューション」の真意
コンサルタントとして働いていると、クライアントから「ベストソリューション的な事例を持ってきてほしい」と依頼されることは少なくないだろう。この際、そうした事例は社内有識者にアプローチして情報収集をすれば良いのだが、集めた事例をそのまま提出するだけでは、コンサルタントとしての価値が発揮できない。
いわゆるベストソリューションとは広く世の中で使われている最適解であり、それをそのまま自分のクライアントの事業に当て込むだけでは、うまくいかない可能性も高いからだ。
どのような会社であっても、購買、財務会計、固定資産管理といった企業の金の流れに関する業務は、業者選定、反社チェック、稟議、発注、検品等の似通った業務の集合で構成され、一般化できる部分が多いとされている(SAPといった高額なERPパッケージがあらゆる業界に実装されているのはそういった理由からだ)。
それであっても、例えばスーパーマーケットの発注とアパレルや硝子メーカーの発注が同じようにできるのか、といえばそうではない。
扱う商材が違えば取引先のカルチャーは異なるし、発注してから実際に商品が手元に届くまでの納期のリードタイムや納品の場所も異なるだろう。業界特有の慣習・法規則への対応など、王道のソリューションでは対応できない“何か”は常に必ず存在するものであり、それが具体的に何なのかを見極め、一般論に対してどのような影響を与え得るのかを考えることこそ、現場のコンサルタントの役割である。
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