「限界でもやれ」頑張り方間違えたコンサルの盲点 クライアントが真に求める「最適解」を導く方法

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

社内有識者の頭脳を余すところなく使うことができ、王道となるアプローチを概ね理解できた時、そこではじめて自分の脳みそをしっかりと使うタイミングがやってくる。個別のチューニング――つまり王道だけではクライアントが抱えている問題を解決できないかもしれない領域の見極めにこそ頭脳をフル活用したい。

社内の有識者を含めた議論では、一般的な事例に照らして、このクライアントもこういうことが問題になるだろう、という点が話される。これは有識者が広く業界を見ているが故にそうなる。ここに一味加えるのは、実際に日々クライアントと顔を合わせて現場を理解している人間の仕事になる。

クライアントの求める「ベストソリューション」の真意

コンサルタントとして働いていると、クライアントから「ベストソリューション的な事例を持ってきてほしい」と依頼されることは少なくないだろう。この際、そうした事例は社内有識者にアプローチして情報収集をすれば良いのだが、集めた事例をそのまま提出するだけでは、コンサルタントとしての価値が発揮できない。

コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル
『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

いわゆるベストソリューションとは広く世の中で使われている最適解であり、それをそのまま自分のクライアントの事業に当て込むだけでは、うまくいかない可能性も高いからだ。

どのような会社であっても、購買、財務会計、固定資産管理といった企業の金の流れに関する業務は、業者選定、反社チェック、稟議、発注、検品等の似通った業務の集合で構成され、一般化できる部分が多いとされている(SAPといった高額なERPパッケージがあらゆる業界に実装されているのはそういった理由からだ)。

それであっても、例えばスーパーマーケットの発注とアパレルや硝子メーカーの発注が同じようにできるのか、といえばそうではない。

扱う商材が違えば取引先のカルチャーは異なるし、発注してから実際に商品が手元に届くまでの納期のリードタイムや納品の場所も異なるだろう。業界特有の慣習・法規則への対応など、王道のソリューションでは対応できない“何か”は常に必ず存在するものであり、それが具体的に何なのかを見極め、一般論に対してどのような影響を与え得るのかを考えることこそ、現場のコンサルタントの役割である。

差の分析に頭を使う
図表:『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』より
メン獄 コンサルタント

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

めんごく / Mengoku

1986年、千葉県生まれ。コンサルタント。上智大学法学部法律学科卒業後、2009年に外資系大手コンサルティング会社に入社。システム開発の管理支援からグローバル企業の新規事業案件まで幅広く手掛ける。2021年に退職後、医療業界全体のDX推進を目指すスタートアップ企業でDXコンサルタントとして就職。 主に大企業のテクノロジーを用いた業務改革の実行支援・定着化、プロジェクト管理、運用設計が専門領域。コンサルティング業界の内情やDXトレンドを紹介し、仕事をよりポップな体験として提案するTwitter、noteが人気を博す。TwitterID:@uudaiy

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事