「オデッセイ」中国製でも再販が必要だったワケ 数は売れなくても必要な高価格モデルの役割

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「前モデルは2021年末をもって生産終了となりましたが、Hondaとして、長く愛されてきたブランドであるオデッセイを継続してお届けしたいという想いと、お客様からの多くのご要望にお応えし、前モデルをベースとした改良モデルを発売します」

ホンダはプレスリリースでそう説明する。つまり「オデッセイはホンダにとっても大切な車種」であり、「顧客からの要望もあった」ということだ。

2021年の国内生産終了後、ホンダとしてはオデッセイからの買い替えにあたって、「ステップワゴン」を受け皿として勧めてきたが、「やはりオデッセイでなければ」というユーザーが多くはなくても一定数はいたわけである。

ステップワゴンスパーダも上級移行を果たしたが……(写真:本田技研工業)

そういったユーザーの存在が今回の復活へとつながったのと同時に、復活するオデッセイの最大のターゲットとなると思われる。中国からの輸入は、そういったユーザーに新車のオデッセイを届ける手段というわけだ。

しかし、オデッセイ復活の理由はそれだけではない。背景として、将来への橋渡しとしてホンダのラインナップに高額車種を残す必要があったことも関係している。

数が売れないのは承知のうえで

2023年4月現在、「レジェンド」や「NSX」が消えたホンダの国内販売車種には500万円を超えるモデルがない。「ZR-V」の最上級グレードの4WDモデルと「シビックTYPE R」を除けば、高くても300万円台なのだ。

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しかし、将来的には上級BEVなど、高価格モデルの展開は予測されることであり、それまでの間に「ホンダは低価格車のメーカー」「高所得者層が選ぶブランドではない」というイメージがついてしまうのは、何とか避けたいところ。

価格帯の高いオデッセイをラインナップすることで、「ホンダには高額車がない」とブランドイメージが低下するのを抑えつつ、高所得者層をつなぎとめるという役割も期待されているのである。

復活するオデッセイを買うのは高所得者層であり、なおかつ「やはりオデッセイでなければダメ」「クルマはホンダに限る」という限られたカスタマーだろう。復活したからといってバンバン売れるわけではないことは、ホンダ自身も理解している。しかし、選択肢として用意することが大切なのだ。

工藤 貴宏 自動車ライター

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くどう たかひろ / Takahiro Kudo

1976年長野県生まれ。大学在学中の自動車雑誌編集部アルバイトを経て、1998年に月刊新車誌の編集部員へ。その後、編集プロダクションや電機メーカー勤務を経て、2005年からフリーランスの自動車ライターとして独立。新車紹介を中心に使い勝手やバイヤーズガイド、国内外のモーターショー取材など広く雑誌やWEBに寄稿する。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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