「オデッセイ」中国製でも再販が必要だったワケ 数は売れなくても必要な高価格モデルの役割

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減速セレクター(ハンドルの奥にありパドルシフトのように扱ってアクセルオフ時の回生ブレーキの利きを調整するアイテム)や自動防眩ルームミラーも新たに採用する。

ボタン式シフトセレクターなどが採用されたインストルメントパネルまわり(写真:本田技研工業)

さらに、先進安全機能として近距離衝突軽減ブレーキ(駐車など低速での前進/後退時に壁などに衝突するとシステムがブレーキを制御し停止または減速する)やオートハイビーム、そしてブレーキとアクセルの踏み間違いによる暴走を防ぐ急アクセル抑制機能(工場出荷時はオフでオンにするにはディーラーでの有料設定が必要)なども追加。車載通信モジュールを標準搭載することで、コネクテッドサービスに対応したことも従来モデルとの違いだ。

公開されている情報を見てわかるのは、“上位シフト”を狙っていることだ。パワートレインは、かつて展開していたガソリン車が消え、価格の高いハイブリッドに一本化されたし、インテリアも本革仕様のみとなった。現時点では明らかになっていないが、価格帯が上昇するのは確実だろう。ターゲットを高所得者層に絞った形だ。

初の「中国からの輸入」となる

もう1つ注目すべきポイントは、復活するオデッセイが国内生産ではなく中国生産となることである。現地法人である広汽ホンダが、広東省広州にある工場で生産したモデルを輸入販売するのだ。

2021年に日本国内での生産が終了したあとも、中国では現地仕様のオデッセイ(左ハンドル)が継続販売されており、それを日本向け右ハンドルに仕立てたモデルとなる。

中国仕様のオデッセイ(写真:広汽ホンダ)

ホンダはこれまで、アメリカやタイで生産した車両を日本向けに導入したことがあるが、中国生産の完成車を正規モデルとして販売するのはこのオデッセイが初めてのこと。それは、日本メーカーとしても初の試みだ。

中国製と聞くと、品質面を不安視する人もいるだろう。しかし、現地の自動車メーカーではなく、日本の企業が厳格なクオリティコントロールを行ったうえで生産する車両だ。品質面で心配する必要は、まったくないと断言できる。

一方で気になるのは、“終了”とされていたオデッセイが“復活する理由”だろう。フルモデルチェンジを経て新型が登場するならともかく、従来モデルの改良版が現れるとなると「あの終了はなんだったのか……」と思うのは当然だ。

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