「学校に行きたくない」原因は気象病かもしれない 曇りや雨の日に「頭痛」がひどくなる子ども

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過去に私が診察した患者さんのなかに、曇りや雨の日に頭痛がひどくなり、学校に行けなくなることもあるという高校1年生の女性Aさんがいました。Aさんの頭痛がはじまったのは小学5年生のころで、最初はひどい痛みはなかったものの、中学に入ると症状が悪化し、授業中に保健室に行ったり、頻繁に学校を休んだりするようになりました。それが周囲に「サボり」と認識され、いじめを受けるようになってしまったのです。

Aさんは、適切な治療を受けてからは元気に学校に行けるようになりましたが、中学時代に心身両面に負ったダメージは相当大きかったはず。病気のことを他人に理解されないのは、本当につらいことだったと思います。

症状と天気との関係をしっかり把握する

子どもの場合も大人と同じく、気象病の症状としていちばん多いのは頭痛ですが、同じ片頭痛でも、大人と子どもとでは症状の出方が異なります。
大人の場合、痛みが数時間から数日続くのが特徴ですが、子どもの場合は長時間続くことはほとんどなく、2時間ほどで治まることも珍しくありません。

しかも、治まったあとは何ごともなかったかのように、元の健康な状態に戻ります。さっきまで苦しんでいたかと思ったら、いつの間にかケロッとしている。だから、仮病やサボりを疑われてしまうのです。

それゆえに、最初はAさんのお母さんも、その症状の深刻さを理解することができませんでした。どうにかして学校には行かせたい、休ませたくないというのが親心ですので、嫌がるAさんを強引に車に乗せて、学校に送り届けることもあったといいます。

それだけ、子どもの気象病はわかりにくいのです。

原因不明の体調不良時に、子どもがよく診断される病名として、起立性調節障害があります。小学校高学年から中学校の思春期の子どもに多い症状で、起立時にめまいや動悸、立ちくらみなどが起こります。症状が重くなると、朝なかなか起きられないことから、不登校につながることも多いようです。

起立性調節障害も気象病と同じく自律神経と深くかかわっているため、当然、天気による影響を受けます。

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