「シエンタ/ノア/セレナ」日本人が箱車を好む訳 世界的なSUV人気の今、ミニバンが売れる
それから30年以上の月日が流れたが、もともと5ナンバー車を中心に設定されてきた駐車枠は、今日も3ナンバー車向けにそれほどゆとりがあるわけではない。このため、コインパーキングなどでも、駐車枠の横幅一杯にようやく収まっている3ナンバー車を見かけることが珍しくない状況だ。
あるいは、戸建て住宅はもとより、マンションなど集合住宅の車庫においても、車幅にゆとりがある例は限られるだろう。
戸建て住宅では、車庫の広さより、屋内の部屋の広さをより大きくしたいというのが、新居の間取りを考えるときの優先順位だ。集合住宅やオフィスビルなどにおいても、耐震性を考慮して支柱が太く、その間隔をせばめて建築されるせいもあるはずで、駐車場への経路や駐車枠は制約を受けている。また、敷地内に駐車できる台数をより多くしたいと考えれば、1台ぶんの駐車枠はせまくならざるを得ない。都市部で、ゆとりをもって3ナンバー車が駐車できる枠が確保されている場所となれば、よほど贅沢なマンションや施設に限られるだろう。
スライドドアは、せまい駐車場でも安心
そうした車幅の限られた駐車枠にクルマを止めたあと、となりのクルマや建物の塀が接近していれば、ドアを十分に開けることができなくなる。そのとき、スライドドアであれば、開けた際にぶつける心配がなく、乗降性に優れる。
福祉車両でもトヨタのウェルキャブでは、クルマの外へ座席が大きくはみ出さない工夫を採り入れたスライドシートが考えられている。また後席に子供を乗せた際、勢いよくドアを開けて隣にぶつけてしまうことを恐れる親もいるはずだ。高齢者にとっても、ヒンジ式ドアを十分に開けられなければ、乗り降りしにくくなる。
駐車枠の幅のせまさによって、日本では、スライドドアの利便性がより重視されるといってよいのではないか。
そのうえで、ミニバンやハイトワゴンは、クルマとして新たな車内空間を与えてくれる。かつて、高級車といえば、アメリカのストレッチリムジンが象徴的だった。しかし、それは外観の異様さを含めた見栄えはともかくも、車内の空間という視点では、単に足もとが広いだけだった。ところがミニバンであれば、天井の高さが格段の快さをもたらす。
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