松たか子、舞台より『ロンバケ』選んだ18歳の選択 「今となっては、ああ、それでよかったのかな」
── かなりの覚悟だったのでしょうか?
松:やると決めて以降は、緊張はしましたけれど、あまり悩むこともなく、粛々とその日を迎える感じでした。
1日1日を着実に、匍匐前進で進んだ感じ
── 実際に撮影に臨んでみての感想は?
松:ホントに必死でしたね。でもずっと楽しかったです。例えば、オムニバスの1つに、私が夢について語る「夢 ドリーム 2023 松たか子」というインタビューものがあるんです。松尾さんからは、「タクシーの後部座席で見るコマーシャル(電子広告)のような、意識の高い人たちみたいな感じでやってください」と言われたのですが、実際に語る内容はどうでもいいような夢の話で。
で、その話を、カメラの横で真剣に聞くインタビュアーを演じているのが松尾さんなんです。カメラには私しか映りませんけど、松尾さんが目の前でずっと、力強く頷きながら聞いてくださっている(笑)。それがもう反則的に可笑しくて、演じることに必死なだけでなく、笑いをこらえるのにも必死でした。
── コントの登場人物になりきるのは、お芝居の役作りとはまた違うのかなと思うのですが。
松:みなさんきっとそう思われますよね。でも、私はお芝居とコントをやり分けるようことが、あまり器用にはできなかったんです。ただ、ドラマのときは、「あそこ、ああしたほうがよかったかな」などと思って、それを引きずったままの顔が映ってしまうのはまずいという意識があるので、映像は切り替えが大事だとは思っていて。今回もそれに近い意味で、とにかく1日1日を着実に終わらせていこうと匍匐前進で進んだ感じでした。
── コントの内容もさることながら、見る側としては、松さんが、こんなこともあんなことも大真面目にやってらっしゃる、というのが面白かったのですが。
松:松尾さんが、「そのままやってくれれば面白いようにするから」と言ってくださったので、自分としては必死にやっているだけだったんですけど、その姿がたぶん面白いのかな……。松尾さんをはじめ、大人計画のみなさんがチームで引っ張ってくださったので、その力が大きいんだと思います。私としては、この作品に出ること自体が挑戦でしたね。