VWの新世代EV、「ID.2all」が映す強烈な危機感 2026年までに発売、今見せなければならない訳

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実は今回の発表に先立って、ハノーバー近くのザルツギッターに建設中のバッテリーギガファクトリー「ザルツギガ」も見学することができた。ここで生産される「ユニファイドセル」は、角型の外形を統一する一方で、性能の異なる3スペックの中身(中身は意外やパウチ式セルである)を用意して、生産性、搭載性の向上により一層のコスト削減が期待される。

この時には車体もユニファイドセル使用に最適化したものに刷新される。これはすでにSSP(スケーラブル システムズ プラットフォーム)の名が付けられており、現在IDシリーズが使っているMEB(モジュラー エレクトリック ドライブマトリックス)、そして近く登場する新型ポルシェ マカンやアウディQ6 e-tronでデビュー予定のPPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)は、将来的にこれに置き換えられる。PPEなど採用車がまだ世に出てもいないのに、すでにグループとしてのフォルクスワーゲンは、ここまでのビジョンを描いているのである。

低価格BEVが普及を後押しするという自信

フォルクスワーゲン乗用車部門は、これまで2030年までにヨーロッパで販売される車両の70%をBEVにしたいと公言していたが、今回の発表にあわせてその数字は80%にまで引き上げられた。背景にあるのは、この低価格BEVが普及を後押しするという自信だ。

EUの2035年までの内燃エンジン完全廃止という方針は撤回され、e-Fuel使用に限り内燃エンジン車にも生き残りの道が開かれることとなった。しかしながら乗用車におけるBEVシフトという基本的な流れには大きな変化はないだろう。何年に何%といった数字の実現可能性等々はさておき、デザインで、商品で、そしてその背後にある技術開発でも、フォルクスワーゲンは本気である。

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島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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