VWの新世代EV、「ID.2all」が映す強烈な危機感 2026年までに発売、今見せなければならない訳

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フォルクスワーゲンのような中間層向けのブランドは、BEV化による価格上昇を車両価格に転嫁するのが簡単ではない。よってブランド力を価格に見合ったところまで引き上げなければ買ってもらえない。背景には、そんな切迫感もあるのは間違いない。

今後のフォルクスワーゲンのデザイン言語を示唆する存在だとされるID.2allのデザインを指揮したのは、新たにデザイン部門を率いることとなったアンドレアス・ミント氏。第7世代ゴルフの発表の際に来日されているので、記憶にあるファンの方もおられるかもしれない。

ミント氏は直前まで在籍していたベントレーから、シェーファーCEOに呼び戻されるかたちで現在のポジションに就いた。自身、今も空冷時代のビートルを所有している生粋のフォルクスワーゲンファンであり、身振り手振りを交えた語り口にもパッションあふれるミント氏のような人物が加わることは、ブランドに大きな推進力をもたらすだろう。就任の挨拶代わりといえるID.2allを見れば、それは間違いない。

リアモーター駆動からの大転換

ID.2allは中身も野心的だ。基本骨格には“MEBエントリープラットフォーム”を採用し、車体前部に電気モーターを搭載。前輪を駆動する。IDシリーズはこれまでリアモーター後輪駆動を基本としていた。それが大転換されたわけだが、ゴルフなど多くの内燃エンジンを積むフォルクスワーゲンは前輪駆動なだけに、これもまたブランド性に鑑みた選択だろう。

スペックの詳細は明らかにされていないが、電気モーターは最高出力226PSを発生し、WLTPモードの航続距離は450kmとされる。バッテリー容量は50kWh以上にはなるだろう。それでいて車両価格2万5000ユーロを実現するとなれば、これは相当なアピールになる。

しかもシェーファーCEOは、将来的には車両価格2万ユーロのBEV開発も目指していくとまで明言した。おそらく、この頃には新しいバッテリー工場が軌道に乗り、それを前提とした新しい車体が使われることになるのではないかと考えられる。

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