陥没乗り越え延伸、福岡地下鉄「七隈線」の期待度 距離は短いが効果大?沿線住宅地の人気上昇

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七隈線延伸の一番列車
福岡市地下鉄七隈線・博多―天神南間延伸開業の一番列車=2023年3月27日5時30分(記者撮影)
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福岡市の西南部と中心市街地を結ぶ地下鉄「七隈(ななくま)線」。3月27日、これまでの都心側終点だった天神南駅から博多駅までの約1.6kmが延伸開業し、山陽新幹線や九州新幹線などが乗り入れる福岡の「陸の玄関口」である博多への直結を果たした。

天神は九州随一の大繁華街だが、七隈線の天神南駅は福岡空港や博多に通じる市内の大動脈、地下鉄空港線の天神駅とは約600m離れており、いったん改札を出たうえで地下街を通って乗り換える必要があった。今回の延伸により、市西南部の郊外と天神、そして博多が1本で結ばれた。

博多駅のホーム端には、福岡市の髙島宗一郎市長が揮毫した「福博連理」の銘板が掲げられた。福博は福岡と博多、連理は2本の木の枝がつながり1本の木のようになることだ。市長は26日に開いた開業式典で「福岡と博多という2つのエリアが1つになって大きな力になっていく」「2つの地下鉄がまさに1つにつながりネットワークになる」と述べ、七隈線の延伸効果を強調した。

博多駅へも空港へも楽になる

七隈線は、鉄道空白地帯だった福岡市西南部と中心部を結ぶ路線として2005年2月に橋本―天神南間12kmが開業。東京の都営大江戸線や大阪の長堀鶴見緑地線などと同じ、リニアモーター駆動によってレールの上を車輪で走る「鉄輪式リニアモーター」の地下鉄で、JR在来線などの一般的な車両と比べてやや小ぶりな電車が4両編成で走る。

延伸に伴って開業した新駅は博多駅と、大規模商業施設「キャナルシティ博多」に近い櫛田神社前駅の2つ。博多駅は改札内で空港線と乗り換え可能で、両線の駅間は約150mと3分程度で移動できる。連絡通路には動く歩道も整備した。

開業日は未明から博多駅の入り口に1番列車を待つ人々が列をなし、5時30分発の橋本行き始発列車は満員の初乗り客を乗せて出発した。上りの1番列車で博多駅にやってきた、終点の橋本付近に住むという60代の男性は「空港線に乗り継いで福岡空港に行くのも楽になる」と延伸を喜びつつ、「少し前まで博多駅前の会社に勤めていたので、通勤に使いたかった。開業が2年延びたのが残念ですね、あの『陥没』で……」と語った。

七隈線1番列車から降りる乗客
博多駅に到着した橋本発の1番列車から降りる乗客=2023年3月27日(記者撮影)
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