「自分は運がいい」と思っている人がやっている事 成功者の99%は「正しい時に正しい場所にいる」

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お年玉もお小遣いも使ってしまったのに、ドラクエのカードゲームが欲しかった君は、本に書かれているように、「お札って、作ってもいいの?」と私に聞いてきた。もちろん偽札を作るのは犯罪なので、「お巡りさんに逮捕されるよ」と注意したが、代わりに私はこう提案してみた。

「そこにある君の絵と工作を、1000円で買ってくれる人がいたら、それは君が1000円札を作ったのと同じことになるよ」と。

そのときの君の表情を、父である私は、忘れもしない。

君は、目を輝かせて「そんなことしても、いいの?」と聞き直した。

「もちろん、要らない人に無理に押し売りするのはダメだけど、声をかけて、興味を持ってくれる人がいたら、値段も自分で決めて、その値段で相手が納得して買ってくれるなら、何の問題もない!」と私が言うと、君はどうしようか迷っていた。

がっくりとうなだれていても…

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ちょうど土曜日だったこともあり、「家の近くのショッピングモールに行って、買ってくれる人を探してみなよ! どうせ、暇だろう?」とけしかけると、君は自分の絵を抱えて家を出て、営業の旅に出て行ったんだ。

結局、売ることも、人に声をかけることもできずにベンチにガックリとうなだれて座っていた君の姿は、今も鮮明に覚えている(笑)。君にとっては苦い思い出かもしれないけど、私は君が絵と工作を抱えて家を出ていったあの瞬間、とても誇らしい気持ちだった。

やったことがないこと、これまで考えもしなかったアイデアを提案されて、「いっちょやってみるか!」と最初の一歩を踏み出してくれたことが、本当にうれしかったのだ。

安心していい。君は、一歩踏み出せる勇気を持っている。小さな身体でふりしぼった勇気の記憶を、これからも忘れないでほしい。

田端 信太郎 オンラインサロン「田端大学」塾長

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たばた しんたろう / Shintaro Tabata

1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げる。2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。

2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員として法人ビジネスを担当し、2018年2月末に同社を退社。その後株式会社ZOZO、コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月退任を発表。著書に『これからの会社員の教科書』『これからのお金の教科書』『部下を育ててはいけない』(SBクリエイティブ)、『ブランド人になれ! 』(幻冬舎)他。

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