日本人が知らないアメリカ国境で起きている悲劇 移民が殺到、メキシコ収容施設では大規模火災
カティウスカ・マルケスは、3月27日の午後、メキシコ北部シウダー・フアレスの路上で物乞いをしていたところ、メキシコの移民局員が彼女とその家族をテキサス州エルパソの国境を越えたところにある移民収容施設に連行したと語る。
数時間後、23歳のベネズエラ人は2人の幼い子供と夫とともに釈放されたが、当局は兄のオルランド・マルドナドを釈放しなかったと彼女はいう。兄が最後に放った言葉の1つは、「僕を死なせないで」だった。
その夜、施設内で火災が発生し、少なくとも38人が死亡、28人が負傷した。メキシコ政府によると、この施設には中南米からの男性68人が収容されていた(メキシコ政府は40人が死亡したと発表していたが、その後数字を修正した)。
メキシコの移民当局は、30歳の兄がいないか地元の病院を調べるようマルケスに言った。
収容者による抗議が発端か
火災の原因はまだ特定されていないが、メキシコ大統領によると、収容施設内で収容者が抗議を始めたことが発端となったという。これは、ここ数カ月でアメリカに向かう移民の殺到に対処するメキシコ国境の都市を悩ませている一連の動きの1つだ。
ジョー・バイデン大統領は、南西部の国境における移民の異常な急増に対して、不法に国境を越えようという人々を思いとどまらせ、アメリカの国境警備隊によって追放された移民を受け入れるためにメキシコに働きかけ、アメリカへの入国と亡命を申請するためにメキシコ北部で待機する移民を収容するという対応をしてきた。