日本人が知らないアメリカ国境で起きている悲劇 移民が殺到、メキシコ収容施設では大規模火災
この収容施設を管轄する国立移民研究所は、この報道についてコメントを控えた。メキシコ政府は、この悲劇について調査を行い、移民の出身国の領事館と連携して身元を特定していると述べた。
アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、火災で死亡した移民は主に中米とベネズエラ出身であったと述べた。また、犠牲者の中にはグアテマラ出身者もいたと、同国外務省が発表している。
テレビ映像では、27日の夜、火災現場周辺にパトカー、救急車、その他の緊急車両が大挙して押し寄せている様子が映し出されていた。施設の駐車場には、大きなホイル毛布に包まれた多数の遺体らしきものが見え、救急隊員が犠牲者の手当てをする中、外の人々は周囲のフェンスにしがみついていた。犠牲者の中には、すすに覆われた遺体もあった。
「ここにはまったく尊厳がない」
ジェシカ・バリオスは28日の午後、悲劇の現場に到着した。そこには、ろうそくと、移民がシウダー・フアレスの路上で直面している状況を訴える看板で、犠牲者を追悼する場所が作られていた。
ベネズエラの都市メリダ出身で、高齢者の介護をしていたバリオスは、2人の娘、ジョアニス(8)とアンドレア(5)と共に、廃墟となった建設現場で生活していると語った。
バリオスは、ベネズエラ人の友人、ホセ・ラファエル・メンドーサを探しているという。メンドーサは27日、市内の渋滞でアイドリングしている車のフロントガラスを清掃する仕事に行った後、行方不明になってしまった。「メンドーサが犠牲者の1人なのかどうかはわからない。しかし、私は最悪の事態を恐れている」。
28日の午後、施設の前に集まった移民たちの間では、怒りが爆発していた。
「この悲劇は人類に対する犯罪だ」と、ベネズエラのサンクリストバル出身の元ボデガのオーナーで、シウダー・フアレスの路上で娘2人と暮らしているフアン・パボン(55)は言った。「私たちは、巨人同士のゲームの駒なんだ。私たちがどうなろうと、誰も気にしない」。
「この人たちが死んだ場所には、まったく尊厳がない」と、彼は付け加えた。「これは刑務所だ」。
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