大塚家具、久美子氏のMBOがありえないワケ 総会後、予想される"第2ラウンド"とは?
総会後、久美子氏が記者会見を開いたり、メディアのインタビューに応じたりするたびに、MBOの実施予定を尋ねられ、これを「完全否定」するということが繰り返されている。要は久美子氏がファンドと組み、勝久氏の保有株をスクイーズ・アウトで取り上げてしまえば、もはや勝久氏は大株主ですらなくなり、そうなれば今後も身の安泰を確保できる、と見られているからだ。
しかし、実際には久美子氏によるMBOが成功する確率は、ゼロに近い。勝久氏が久美子氏に保有株を譲り渡す決断でもしない限り、久美子氏がMBOに踏み切る可能性はゼロなのだ。
なぜか。少数株主の追い出しは3分の2を握れば可能だが、逆に言えば、単独で3分の1以上の株式を握っていれば、強制的に追い出されることは絶対にないからである。
ききょう企画の持ち株は自由にならず
勝久氏と千代子氏の保有株は、合計で19.95%。久美子氏側が3分の2を握るには、この19.95%以外の80.05%の中から、66.7%に応募してもらわなければならない。
さらに問題になるのが、大塚一族の資産管理会社である、「ききょう企画」が保有する9.75%だ。この9.75%、今回の総会の時点では、ききょう企画の議決権行使に関する意思決定権を事実上掌握していたのは、久美子氏。議決では久美子氏側の票になったと見られる。が、この9.75%分はいずれ、久美子氏の自由にならなくなる可能性がある。
ききょう企画は勝久氏を引受人として、2008年に期間5年の社債15億円を発行し、この社債が勝久氏からの株式取得原資になっている。勝久氏は社債の償還、それも大塚家具株式での償還を求め、償還期限到来から半年後の2013年秋に訴訟を起こしており、現在はまだ1審の審理中なのだ。
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