大塚家具、久美子氏のMBOがありえないワケ 総会後、予想される"第2ラウンド"とは?

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実は久美子氏がMBOの選択肢をとるのはきわめて難しい(4月9日、大規模セール発表の記者会見。撮影:吉野純治)

世間の注目を集めた大塚家具の株主総会から早くも半月。取締役選任案では、大塚久美子社長案が61.07%の支持を得て勝利した。が、敗れた実父で前会長の勝久氏は、依然として、妻・千代子氏の所有分と合計で、発行済み株式総数の19.95%を保有する、筆頭株主であることに違いはない。

このため、第2ラウンドを“期待”する声は根強く、その有力な手法として取り沙汰されているのが、MBO(経営陣による買収、マネジメント・バイ・アウト)だ。MBOとは、2005年に誕生した会社法のうち、2007年施行分で解禁された、「スクイーズ・アウト」と呼ばれる組織再編の手法の一形態である。

議決権の3分の2以上を握った大株主は、残りの株式を保有する少数株主から、その保有株を、本人の意思とは無関係に強制的に買い上げ、会社を完全支配することができる。なぜ3分の2かと言えば、大株主が少数株主から保有株を強制取得するには、株主総会での特別決議が必要になる。3分の2以上を握れば、単独で特別決議に必要な議決権も掌握できるからだ。

8年間で市場を去ったのは260社超

手順としては、TOB(株式公開買い付け)を実施して、3分の2以上の株式を取得、その後に臨時株主総会を開催し、少数株主の「追い出し決議」を取り、上場廃止に至る。

この手法で既存株主から保有株式を強制取得し、市場を去った上場会社は、過去約8年間で260社以上ある。このスクイーズ・アウトのうち、買収者が買収される会社の経営陣である場合のケースを、MBOと呼ぶ。

もっとも、経営陣による買収とは言っても、個人でTOBに必要な資金を現預金の形で持っていたというケースは、過去にほとんどない。実際にはファンドの資金的支援を仰ぐ。買収者たる経営陣は、TOBに必要な資金のごく一部を出すだけで、大半の資金は、ファンドが出資やローンの形で提供する。

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