「月に1件」買収してきたグーグルM&A戦略の威力 グーグル、GMから企業買収の最大の効果を学ぶ

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買収によりグーグルの利便性が向上することでユーザー数が増え、データが集積し、広告のターゲティングの精度が上がる。そして、ユーザー、開発者、そして広告主という異なる顧客グループの間でネットワーク効果が働く強力なプラットフォームを構築した。

デジタル広告市場の急拡大には、連続した買収と混合結合によって需要側、すなわち、複数の顧客グループの間にネットワーク効果が生まれたことが大きく貢献している。

寡占形成後のM&A

GMとグーグルは寡占形成の過程において、ともに周辺多角化を実行して自社の寡占を堅守する防御型の買収を実行した。

GMは買収によってバスと鉄道事業に参入し、潜在的な脅威となる事業を傘下に収めることで、自社の自動車事業の寡占を守った。

グーグルはアンドロイドの買収と製品化で、アップルのiOSによる独占を打破し、逆にスマートフォンOSの最大手となることで、自社のデジタル広告市場での寡占を防御した。

両社の多角化とアライアンス

両社はまた、本格的な新事業への多角化を試みている。GMは情報処理サービスのEDS買収などを実行したが結果的には失敗に終わった。

グーグルはネストラボの買収で家電事業への多角化を試みているが、その成否はまだわからない。一方で、本業から距離があり開発コストも膨大である自動運転車の事業は分社化し、投資ファンドから資金を調達することでリスクヘッジしている。

アライアンスでは、GMが小型車の開発と生産の能力向上のために日本の自動車メーカー3社に出資してアライアンスを組んだが、大きな成果は挙がらなかった。グーグルは自動運転で日産自動車やルノーなど自動車メーカーと提携を始めている。

GMのアライアンスは同業者と事業の改善を図ることを目的とした深化型で、グーグルは異業種の企業と新たな事業を開発することを目的とした探索型のアライアンスである。この探索型では吸収能力の高さが勝負となるが、その成果はこれからである。

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