買収の狙いはどこにあったか
グローリーは通貨処理機で世界最大手のメーカーである。造幣局、印刷局、日本銀行などの金融機関や小売り企業などを取引先とし、国内市場で高い占有率を維持してきた。
2000年代に入って海外事業の拡大を計画したが、おもに代理店を通じた販売、保守を行っていたため、「GLORY」ブランドが市場に浸透せず、現地ライバルメーカーとの競争で苦戦していた。
そこでグローリーは、買収によって海外事業を拡大する方針に転換、2012年に欧米を中心に世界22カ国で通貨処理機の直販と直保守サービスを行う英国のタラリス・トプコ社を800億円で買収した。
タラリスは2008年に英国デラルー社の通貨処理機部門が分社して発足したもので、投資ファンドのカーライル・グループが株主となっていた。
分社後は、通貨処理機の製造はEMSに委託、設計やマーケティング、保守サービスに注力し、特に保守は全体売上高の43%を占めていた。
大手金融機関を顧客基盤とした経営は安定しており、買収時点でタラリスの売上高約400億円は、グローリーの海外売上高353億円を上回っていた。
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