紙おむつ“影の主役” 日本触媒SAPとDNA《下》

幸い、P&Gが中国の紙おむつ市場で4割の断トツ・シェアを握っている。中国に隣接するアジアでP&Gへの供給力を拡大すれば、自ら中国リスクを取ることなく、中国市場の成長を取り込めるのだ。

同時に、アジアへの連続投資は、P&Gへの依存度を低下させるための作戦でもある。アジア市場には世界中の紙おむつ企業が殺到している。たとえば、主にSAPを三洋化成=三菱化学から購入している紙おむつ世界3位のユニチャーム。「キンバリー(2位)より商品作りがきめ細かい。アジアで大きなシェアを取るのではないか」(近藤社長)。

ユニチャームや中国の現地メーカーにもっと浸透するためにも、P&Gの要求を上回る大投資が必須になるのである。

芽吹き始めた“花” あきらめないDNA

日本触媒の株価は、10年度の好業績を察知して反転し、1000円の大台乗せに肉薄した。その限り、「読みどおり」(近藤社長)なのだが、やはり、市場のブーイングはこたえている。「(会社の中身が)わかりにくいんでしょうね」。SAPが“影の主役”であるため、成長性が認知されにくい。歯がゆい思いは、先代の柳田浩・前社長も同じだった。

柳田氏は「選択と集中」を実践し、アクリル酸・SAPの収益基盤を固めたが、日本触媒に“花”がないことが心残りだった。同業のJSRや日立化成のように、液晶やIT・半導体絡みの商品を育てられないか。

“片道切符”で子会社に転出した近藤氏が呼び戻されたのは、研究・開発行政で見せた近藤氏の目利きの力に柳田氏が期待したからだ。

「魚のいない池で釣りをしても、釣れんやろ。どや、(新しい池で)やってみるか」「やりましょう」

今、ようやく花が芽を出しつつある。一つは、耐熱性・透明度に優れた液晶向けアクリル樹脂「アクリビュア」。10年度30億円弱、13年度は100億円を見込むところまで来た。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ドラマな日常、日常にドラマ
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 高城幸司の会社の歩き方
トレンドライブラリーAD
人気の動画
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT