FRBは銀行よりインフレ、年内の利下げは見込み薄 5月に0.25%利上げし様子見へ、140円復帰も視野

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筆者は4~6月期、7~9月期そして10~12月期の前半頃までは円安・ドル高の色合いが強くなりやすいことを想定している。水準としては年内140円台に復帰する可能性はまだ十分考えられるだろう。

しかし、10~12月期の後半以降は利下げ議論も公式に認められるような雰囲気が醸成され、米金利主導で円高・ドル安には折り返しやすいように思っている。

もちろん、年内利下げ転換に至るというリスクシナリオもある。それが実現するとしたら、やはり国際金融不安のさらなる深化まで見込むケースであろう。

実際、アメリカの商業用不動産絡みの債権が火種となり、金融機関経営を揺さぶるのではないかという懸念がすでに一部で出始めている。そうなってくると「一部の地方銀行の問題」と強弁しているFRBの主張はまかり通らなくなる。

金融システム全体の不安定性にまで議論が飛び火してしまうと、早期利下げの可能性は高まり、想定外の円高を招来する懸念がある。

円高の限度は125円割れ

しかし、すでに2023年の年初2カ月でマイナス4兆円に迫る日本の貿易赤字の現状を踏まえれば、しょせんは「円を売りたい人が多い」という需給環境も大きくは変わっていない。そう考えると、リスクシナリオにおいても、125円割れが関の山ではないかと筆者は構えている。

ちなみに、今回のドットチャートでは2024年末の政策金利が4.25%と示された。つまりほとんどのメンバーが2024年中の利下げを想定しており、このままいけば2024年の主要な取引テーマは「アメリカの利下げペース」になる。

本当にそうした展開をメインシナリオに据えるべきなのか。まだ、2024年の展開を検討するには気が早いように思えるが、利上げ停止の決断が下されるだろう5月以降、本格的な予想策定を始めたいと思う。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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