「投資はリスク」と思う人に知ってもらいたい真実 わが子に教えたい「絶対に役立つ」お金の話

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積立が大切だというのは、これもリスクを低く抑えるために有効だからです。すべての金融商品は、買う時期によって価格が違います。もしまとまった金額で「高い時期」に買ってしまうと、安くなる時期の資産価値の下落総額が大きくなってしまう。

とはいっても「安い時期を狙って買う」のはプロでもなかなか難しいものです。さらに下がることもあるし、しばらく我慢していれば上がる可能性もある。だったら、まとめ買いをするのではなく、毎月数万円ずつなど決まった金額を積み立てて投資していくほうが、リスクは軽減できます。

今月は高い時期にあたったけれど、来月が同じくらい安くなっていれば、2カ月で収支はトントンです。しかし、最初の月に全額を投資してしまっていれば2カ月後の収支は大きなマイナスとなります。

分散させることの大切さ

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積立投資によって、価格変動のインパクトは中長期的には少なくなり、長い目で見れば、極端に高くも安くもない平均値で買ったのと同じことになります。全体の傾向として、少し上がっていれば、それで運用成功ということです。

分散投資もリスクを最小限に抑えるための手段です。これはAという商品だけをまとめて買うよりも、投資先をAとBに分散し、投資のタイミングをずらすなど工夫すればAが暴落してもBは上がるということもあり、それによってAで損した分をカバーできることもあります。

これは株式投資のなかでの分散ですが、投資先を株式ばかりにせず、一部は債券、一部は不動産、あるいは金など別の種類の資産に分散させることも大切です。

永濱 利廣 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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ながはま としひろ / Toshihiro Nagahama

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒業後、第一生命保険入社。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、2016年より現職。跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター、総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事・事務局長、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。専門は経済統計、マクロ経済分析。著作に『スクリューフレーション・ショック』(朝日新聞出版社)、『男性不況』(東洋経済新報社)等。

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