「投資はリスク」と思う人に知ってもらいたい真実 わが子に教えたい「絶対に役立つ」お金の話
まだ働いている世代の人たちも「夫婦が60代になるまでに2000万円の貯金なんかできるはずがない!」という人が非常に多かったのです。これは、日本の年金制度にも大きな問題があるのですが、それに加えて、この世代の人々が「お金を蓄える」と言えば、「銀行の預貯金」にしか頼ってこなかった、ということも原因のひとつだと言わざるを得ません。
「投資」という言葉に最も縁遠いのも、この世代の一般の人たちです。「投資なんてギャンブルのようなもの」「危ないことには手を出さずお金はコツコツ銀行の定期で貯めていこう」といった考え方が、長年の主流だったのです。
銀行の定期預金の利率が「10年で10%」だった時代ならいざしらず、すでにそこから40年以上がたち、今や銀行の利息なんてないも同然です。金庫に入れておくのとほぼ変わりません。
日本人は昔から「預貯金」を好む傾向が強く、家計の金融資産(不動産、貴金属などの現物資産以外の資産のこと)のうち、約55%が現金または預金です。
農耕民族だった日本人は「投資」が苦手?
しかし2021年のOECDの調査によると、現金プラス預貯金の割合は、アメリカ13%、カナダ22%、イギリス26%、フランス29%、ドイツ40%、スペイン42%、イタリア33%、韓国43%です。
アメリカの統計を細かく見ると、株式37%、投資信託13%、保険・年金31% で、日本は株式10%、投資信託4%、保険・年金24%となっています。なお、保険・年金は、掛け捨てではなく満期金がある貯蓄性の高いものが「金融資産」とされます。国によって金融システム、社会保障システムなどが違うため、単純な比較はできませんが、日本の預貯金率はやはり世界的に見てもかなりの高さになっています。
もともと農耕民族である日本人は、リスクをとって大きな獲物を狙う狩猟民族よりも保守的で、「収穫できたものはきちんと貯蔵しておく」ほうが安心できるのかもしれないなあ、などと僕は思ったりしています。
しかしもう少し早い時期に、銀行に預金をしておくだけではなく、正しく「投資」の必要性を理解していれば、堅実に自分たちの資産を今より増やしておくことはできたはずだと思います。そうすれば、今絶望的な気分になっている人はもっと少なかったのではないか、と思わざるを得ないのです。
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