VCが決してやってはいけない3つの致命的ミス 「チームも製品も素晴らしい」だけでは足りない

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ひとつは、正しい企業を選ぶが、誤った市場を選ぶことだ。つまり、優良で利益の大きなビジネスを行い、チームも製品も素晴らしいが、さほど大きくない市場にいる企業に投資することだ。

チームがいかに業務を立派に遂行しても、収益が5000万~1億ドルに達しなければ、その企業の時価総額は伸びない。

もうひとつは、不作為の罪は作為の罪よりも重いということだ。

最終的に失敗に終わった企業にVCが投資することはかまわない。このビジネスではよくあることだ。

やってはいけないことは、次のフェイスブックになる企業に投資しないことだ。このビジネスで成功を収めるためには、リスクを回避してはいけない。

その市場は、必要なリターンをもたらしうるか?

以上の点から、VCは大きな市場機会に投資すべきだという自明の理が導かれる。小さな市場で成功を収めても、ビジネス継続のために必要なリターンを、決してVCにもたらさない。

たとえば、スタートアップの成功の可能性を評価する際、VCは市場規模を「そんなの大した問題じゃない」と考えることがよくある。

だが素晴らしいチームと素晴らしい製品はいいとして、市場規模がビッグビジネスを維持するのに十分でなければ、それは大した問題、ということになる。

ベンチマーク・キャピタルの創業者アンディ・ラクレフはこう言っている。平凡なチームでも巨大な市場にいれば企業は成功できるが、素晴らしいチームでも貧弱な市場にいては必ず失敗する。

市場規模を適切に評価することが、なぜそれほど難しいのか? それは、市場の実際の大きさは、投資する時点ではわからないことが多いからだ。だから、市場を評価する際に、VCはさまざまな形で自らをごまかしている。

新製品が既存製品にそのまま置き換わる場合、市場規模は最も評価しやすい。

例としてデータベースを挙げよう。

オラクルはデータベース市場では巨大企業なので、その市場機会をつかもうとするスタートアップは、大きな市場で勝負することになると難なく推測できる。いとも簡単なことだ。

だが、データベース市場全体が、時間がたつにつれてどう展開するのかはわからない。

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