起業家が資金調達を考える際の有力な候補の1つに、ベンチャーキャピタルがある。
シリコンバレーの著名なVC、アンドリーセン・ホロウィッツの最初期のメンバーであり、起業家としての経験も持つスコット・クポール氏の著書『VCの教科書』から、VCがアーリー・ステージの投資先をどのように判断するのかについて、抜粋・編集して3回に分けてお届けしよう。今回は2回目となる。
VCが投げかける質問とは
前回指摘したように、VCが投資見込みを評価するために用いる、定性的かつ高水準の定量的ヒューリスティクスがある。それは一般に、人、製品、市場の3つに分類される。
ここでは、製品について見ていこう。
アーリー・ステージでVCが投げかける質問は、基本的に次のようなものだ。
その製品は、(そのニーズを現在顧客が知っているかどうかにかかわらず)顧客が実際にお金を払って購入するような、市場での根本的なニーズに応えるものだろうか?
製品の評価についてまずわかりきっているのは、その製品は不変ではない、ということだ。
当初考案されピッチされた製品は、最終的に世に出回る製品とは異なる可能性があると、VCの大半は当然のように思っている。
なぜかと言えば、スタートアップが製品のバージョンを作り、アーリーアダプターの顧客のいる市場に出すまでは、市場のニーズと製品の適合性について企業が抱く考えは、純然たる仮説にすぎないからだ。
現実の顧客に対して何度もテストを行うしか、企業は真に画期的な製品を作り上げるために必要なフィードバックを得られない。
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