(『ハード・シングス』などの著書で有名な)ベン・ホロウィッツはこれについて、ビタミンとアスピリンの違いを用いて明確に述べている。
ビタミンの摂取は好ましいし、健康に良い効果をもたらす。しかし、もし家を出る前にビタミンを摂ることを忘れたとしても、通勤途中でわざわざ家に引き返したりはしない。また、ビタミンが本当に体に効いているかどうか気づくまでに、かなり長い時間がかかる。
でも頭痛なら、何とかしてアスピリンを手に入れようとするだろう!
アスピリンは頭痛という問題を解決するし、しかも素早く効く。これと同じように、現状に対して大きな優位性のある製品はアスピリンなのである。
VCはアスピリンに出資したいと考えるのだ。
VCの興味をそそるもの
VCはあなたに対して、市場のニーズを正確にピタリと当てることを期待しているのではない。最初の製品計画にいたるまでのプロセスを判断しているのだ。
あなたがどんな考え方をするか知って、VCは興味をそそられる。
わたしたちはアイデアの迷路を見たい。市場からどんなデータを取り入れたのか? それはいかにしてビタミンではなくアスピリンとして作用するのか? この製品が既存の選択肢と比べて10倍優れている、または安価なのはどうしてか?
実際に市場に参入し市場ニーズに対して製品を提供して試すにしたがい、あなたの製品計画が方向転換(ピボット)する可能性があることを、VCは承知している。
だが、市場ニーズを判断したそれまでのプロセスは、変化する市場の需要に的確に適応できるほどしっかりしたものだという安心感は抱きたいと思っているのだ。
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