なぜ日経平均は、2万円突破でも「買い」なのか 歴史を知れば、次の相場が見えてくる

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次は、6月の高値2万2666円80銭を含む1996年。この年は住友商事の銅取引での巨額損失が発覚した年としても有名だが、年間を通して2万円を超えていた。自民党が選挙で圧勝し、年後半にはJR西日本とオリエンタルランドが東証1部に上場した。しかし、ここが景気のピークであり、翌1997年の1月10日は1万7303円になっていた。

このように書いてくると、何か空恐ろしい気持ちになる読者もいるかもしれない。

国内のファンドや外国人は本当に買っているのか

もし、「空恐ろしい気持ち」になっているとすれば、それは過去の2万円相場を知っているベテラン投資家だからだろう。それゆえ、そうした投資家ほど、今回の上昇局面でも相場について行けず、上がる相場におろおろしている。「持たざるリスク」に直面しているファンドマネージャー達は、今や「強制買い入れ」を厳命され、ファンドの「矯正」に必死だ。

なぜそうなっているかと言うと、今回の「日経平均2万円」は、相場観と相場観のぶつかり合いでできたものではないからだ。もともと金融相場は「不景気の株高」に代表されるように人工的な相場で、おカネの絶対量を増やす「QE(量的緩和政策)」とおカネの動きを活発にする「ゼロ金利政策」で、おカネと株式のバランスを良い意味で崩し(そうでないという人もいるが)、株高を誘導する相場だ。

欧州と日本はこの金融相場のまっ最中である。特に、今年に入ってからの株高は、米欧を買いつくしてもなお余った資金が、長い目で見れば「出遅れ日本」に入って来たのがきっかけだ。

1月第3週からの外国人投資家の6週連続計約2兆8000億円の買い越しはそれが爆発した形だった。従って、「売り方」(=売りで儲けようという勢力)は問答無用の買戻しを余儀なくされたが、その動きは陽性で、納得できるものだった。

しかし、3月に入って1万8000円後半から1万9000円を超えてくる段階では、まったく下がらない相場で、下がらないから上がらざるを得ないと言う非常にやりにくい「陰性の相場」に変わった。これが、ベテラン投資家がついて行けなかったもう一つの理由である。ファンドマネージャーが組み入れを思い切り増やせなかった理由でもある。

それは、買い方の主体が、海外年金やオイルマネーと、国内公的ファンドの現物買いに変わったためだ。両者とも日中のトレードでは、売り物薄を買い上がることは絶対になく、ある程度売り物が出たところを「一網ですくう」方法だ。

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