なぜ日経平均は、2万円突破でも「買い」なのか 歴史を知れば、次の相場が見えてくる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だから、日々の動きは派手ではないのに、いつのまにか水準を上げている。まさに売り方にとっては真綿で首を絞められているような相場。これが現在の姿である。

さて、話を最初に戻そう。今の2万円前後は売りなのか?買いなのか?

過去の2万円と決定的に違う「三つの点」

さきほど過去の三つの例を紹介したが、確かに空恐ろしくなる類似点もあるのだが、決定的に違う事象もある。一つは需給だ。海外年金やオイルマネーと、国内公的ファンドの現物買いはまだ終わっていない。売りあがった個人投資家の手持ち資金も潤沢だ。

二つ目は、ファンダメンタルだ。2000年のITバブル時に付けた日経平均の最高PER(株価収益率)をご存じか。何と305倍だ。これは異常としても、他2例の2万円も50倍前後だった。今は前週末の金曜日で予想PER約17.64倍である。しかも、予想数字がほぼ入れ替わる5月連休明けには、10%の増益見通しとしても16倍割れとなる。

三つ目は相場の常だが、株価が上昇していくと、その先々で株高による新しい世界が生まれる。ベースアップを含む賃金の上昇にも、明らかにこの株高が影響している。株高はデフレ脱却にも貢献する。紹介した3例当時は、2万円と言う株高でありながら、多くの問題も内包していた。

今がまったくないとは言えないが、「失われた15年、あるいは20年」の中で企業は多くの問題を解決してきた。株高が素直に世の中を良くする日本経済の構造がいつの間にか出来上がっていたのではないか。

さて、メディアでは盛り上がる2万円相場だが、ここまで「小さな踏み上げ相場」(売りで儲けようとする勢力が負け、株を買って決済させられる相場)を重ねて来たので、適度なガス抜きがされている。

それゆえ、2万円以上で何かが特別に爆発するということも、現段階ではなさそうだ。今週は15日(水)のECB定例理事会・総裁会見を中心に、日米ともそれなりの注目材料はあるが、ここまでの相場と大きくは変わらないと見る。

今後の展開も、25日移動平均(週央予測1万9500円)かい離マイナス1%~プラス4%の範囲に収まろう。今週一気にマイナスかい離になるとも思えないので、日経平均の予想レンジは下値1万9500円~上値2万0300円とする。
 

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事