ポロじゃない?VWのEV「ID.2 all」が映す未来 実車に接してわかった、BEVを使った生き残り戦略

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長くなってしまって恐縮だが、最後にもうひとつ、興味深かったVWの取り組みについて書いておきたい。

ハンブルグ市とVW商用車部門(VWCV)は、インテリジェントトランスポートネットワークの構築で手を組んでいる。ピュアEVで、あたらしい公共交通システムを構築というもの。

2025年に正式運用を目指す「MOIA(モイア)」なるサービスが、いま現地で試験運用中なのだ。

現在試験運用中のMOIAで使われている電動のVWクラフター(写真:筆者撮影)

VWが専用開発した自動運転の車両を使い、市内各所で、スマートフォンの呼び出しに対応して乗客をピックアップする。

現時点で運用されているのは、クラフターというVWCVの商用車をベースした車両。6人乗りの室内は、天井が高く移動が楽なうえ、空間が広くて居心地がたいへんよかった。

VWCVでは、いくつかのパートナー企業と組んで開発を進めている。

広々としたMOIAのクラフターの車内はスペース的な余裕をとりながら6名乗車で設計されている(写真:Volkswagen AG)

1週間24時間切れ目のないサービスの提供目指す

将来はID.BUZZ(このモデルもVWCVが開発したもの)を使った無人車になるという。LiDARシステムを搭載したID.BUZZの実証実験もスタートした。

いま鋭意開発中というID. BUZZをベースにしたMOIA用車両ではLiDARを組み込むなどして自動運転をめざすそう(写真:Volkswagen AG)

「MaaS(Mobility as a Service)とTaaS(Transport as a Service)について、ハンブルクで実証実験を行い、将来は興味をもってくれる自治体に同様のシステムを提供したいと考えています」

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VWCVの取締役であるクリスチャン・ゼンガー氏は語っていた。

「ハンブルクでは、夜になると、公共交通が止まってしまいます。コンサートの帰りなど、このサービスを欲しがるひとは多いはずです」

実証実験中は、1週間のうち4日、時間帯も限られているけれど、「目標は、1週間24時間、切れ目のないサービスの提供です」(ゼンガー氏)という。

料金は1キロ1ユーロほど(時間帯や利用者の数などですこし変動)だそうで、「将来はその半分ぐらいにしたいです」と、ゼンガー氏はつけ加えた。

ここにも、ピュアEVでビジネスの商機をさぐるフォルクスワーゲングループの最新の動きがあるのだった。

【スペック】
Volkswagen ID.2 all showcar
全長×全幅×全高 4050x1812x1530mm
ホイールベース 2600mm
1モーター 前輪駆動
出力 166kW
航続距離 約450km
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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