ポロじゃない?VWのEV「ID.2 all」が映す未来 実車に接してわかった、BEVを使った生き残り戦略

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一言でいうと、速い。アウトバーンでは交通の流れをリードできるほどだ。ドイツでは市街地走行をするより高速走行が多かったので、加速性能の高さは追い越し時によくわかった。

足まわりはやや硬めで、とくにベルリンの舗装がよくないところでは突き上げをくらうのが気になったが、高速ではバネ上の重さも手伝ってだろう、フラット感が強く快適だった。

並行して乗ったID.BUZZは、1950年代から70年代にかけて欧州と北米で大きな人気を誇った「タイプ2」(タイプ1はビートル)をEVに仕立て直したようなミニバン。

ID.BUZZは後席の出入りのためにスライドドアを採用(写真:Wolfgang Grube)

私がID.BUZZに乗るのは、2022年秋のコペンハーゲンでの国際試乗会以来2度目で、今回はより長い距離でのドライブを体験できた。1モーターの後輪駆動だが、けっして非力ではない。

ID.4 GTXには及ばないまでも、アウトバーンでも快適に走行を続けられる。やはり足まわりは硬めだが、こちらもID.4同様、速度が上がるとフラット感が増すのだった。

途中、気温は0℃に下がり、強い風に乗ったみぞれが吹き付けてくる場面にも遭遇。それを難なくこなしてくれた。

VW車の現代的な解釈として大成功

とくにID.BUZZは、「人びとに愛されてきたフォルクスワーゲン車の現代的な解釈として大成功」と、シェーファーCEOが自画自賛するだけあって、遊び心のある室内空間にいるのも楽しい。

2023年中には3列シート7人乗り(6人乗り?)のロングホイールベース版が出るようで、とくに北米市場での成功が期待されている。現行の5人乗りモデルでも、使い勝手は十分よい。

市街地で撮影していたり、高速のサービスエリアで充電(150kWのチャージャーを使うと速い!)していたりすると、笑顔で話しかけられることが多かった。

このように、ID.シリーズに多様性をもたせることで、VWは、ピュアEVの可能性をうまく喧伝しているようだ。それが改めてわかった気がした。

ID.BUZZは乗用と商用両方のために開発された(ベルリンのかつての”壁”の前で)(写真:Wolfgang Grube)
次ページ最後にもうひとつ、興味深かったVWの取り組み
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