ポロじゃない?VWのEV「ID.2 all」が映す未来 実車に接してわかった、BEVを使った生き残り戦略
デザインを統括するヘッドオブデザインのアンドレアス・ミント氏も、「電気自動車であることより、VWのヘリティッジ(伝統)を重視しました」と教えてくれた。
前輪駆動方式を採用した理由について、VWブランド技術開発担当取締役のカイ・グリューニッツ氏は以下のように語る。
「このクルマを使うユーザー層にとってトランク容量はとても大事。なので、プラットフォームを新開発して、リアからドライブトレインをどけて、すべてをフロントに移しました」
じっさいにトランク容量は490リッターと、かなり広い。床下にはバッテリーを敷き詰めている一方、全高を1530ミリに抑えるパッケージングも注目点だ。
「そのうえで、従来のゴルフやポロのユーザーにもアピールするスタイリングを実現するのに、ものすごく苦労した」(ミント氏)とのこと。はたして、魅力的なスタイルが出来上がったといえる。
手頃な価格で航続距離も長い
さらに、忘れてはならない特徴がもうひとつ。2万5000ユーロ以下と言われる価格設定だ。
2023年3月の為替レートだと、日本円で360万円を超えるものの、現地で暮らすひとに聞くと、生活感覚として1ユーロ=100円とすれば、ともいう。かりにその“感覚”をベースに想定すれば、250万円を切る価格だ。
ちなみに、日本で250万円クラスのピュアEVを探すと、「日産サクラ」が思いあたる。「Xグレード」は254万8700円。ただしサクラの走行距離が180キロなのに対して、ID.2 allは450キロとされている。
「年間を通して毎日使える電気自動車」と、VWではID.2 allを定義。それだけに、1充電当たりの走行距離の長さなど、本気で開発された印象が強い。
サイズは、「ポロとゴルフのあいだに入るモデル」(シェーファーCEO)と強調されている。具体的には、現行ポロの全長は4085ミリなのに対して、ID.2 allは4050ミリ。
「サイズはポロで室内はゴルフより広い」(デザインのミント氏)というのが、ID.2 allの特徴なのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら