マック「てりたま」一部休止の発表から見える苦心 卵不足で代替商品を提案、回りくどい表現の背景
通常、このような不測の事態で商品が供給できなくなった場合、販売休止を淡々と告知すると同時に「お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」といった、定型の「謝罪文」で締めるのが一般的だ。
だが、今回のマクドナルドのプレスリリースでは主題であるはずの「販売休止の説明」より、「代替商品の紹介」のほうが分量が長くなっている。「販売休止」のプレスリリースとしてはかなり珍しいものだ。
表現の回りくどさも「特異」
もう1つ「特異」なのは、「妙に表現が回りくどい」という点だ。冒頭のタイトルからして、回りくどい。「たまごを使用した商品の販売状況と期間限定商品の追加販売に関するお知らせ」とある。「販売状況」などと言わずに、「一部販売休止」と言い切ったほうが、よほどわかりやすい。実際、発表を受けてニュースを出したメディアの多くは「一部販売休止」と置き換えている。
また、タイトルだけではなく、中身の文面も微妙に回りくどいものとなっている。「店舗及び時間帯によって、たまごを使用した商品の販売を休止している場合がございます」。これも「一部店舗で販売休止することとなりました」と言い切ったほうが、はるかに伝わりやすい。
「プレスリリースの鉄則」は「シンプルでわかりやすいこと」だ。なぜなら、プレスリリースの主目的は「メディアに取り上げられること」であり、「シンプルでわかりやすくなければ、メディアに取り上げられにくい」からだ。
メディア、とくに私が携わっていたテレビはシンプルな情報しか伝えられないがゆえに、広報の世界でこのような「鉄則」が生まれる。
ニュース番組のアナウンサーが原稿を読むスピードは、1分間で約350字だ。1本のニュースは大体1分から2分の原稿だ。つまり、1つのニュースでせいぜい700字程度しか伝えられないということになる。
「記者会見での社長の音声」などを用いれば、原稿の文字数はさらに短くなる。『ガイアの夜明け』や『カンブリア宮殿』、『NHK特集』のような「長い時間の特集」でなければ、そもそもテレビは「ニュースの要旨」しか伝えられないのだ。
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