中国シャオミの「スマートEV」、2024年に量産へ 創業トップの雷軍氏が全人代の会議で明言

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シャオミの創業トップの雷軍氏は、経営ビジョンを雄弁に語るカリスマ経営者として知られる(写真は同社ウェブサイトより)

「シャオミ・カーは最近、冬季のテスト走行試験を完了した。2024年前半には量産を始めたい」――。

中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の創業トップの雷軍氏は3月5日、同社が開発を進めているスマートEV(電気自動車)の進捗について、そう明らかにした。雷氏は全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の議員を兼務しており、同日開催された北京市代表団の全体会議の席で発言した。

シャオミが自動車産業への参入を発表したのは2021年3月のことだ。「今後10年間で100億ドル(約1兆3582億円)を投じる」と、雷氏は宣言。自動車業界では、シャオミ・カーのその後に注目が集まっていた。

「2022年1月から9月までに、スマートEV事業に18億元(約354億円)を投資した。開発部隊の規模は1800人を超えている」。2022年11月、シャオミの経営幹部は同年7~9月期の決算説明会でそう述べた。

同社の公式ウェブサイトの求人ページでは、スマートEV事業に携わる人材を大量に募集中だ。勤務地は北京市と上海市の2カ所で、開発エンジニアやマーケティング担当者など400件以上の求人情報を掲載している。

先行きを不安視する声も

スマートEV事業を担う子会社は、北京市の経済技術開発区に本社を置く。営業本部ビルや研究開発センターとともに、EVの組み立て工場を2期に分けて建設。生産能力は第1期、第2期ともに年間15万台を予定している。

自力での研究開発に加えて、M&A(合併・買収)を通じた自動運転技術の取り込みも強化している。シャオミは2021年8月、自動運転技術の開発企業の深動科技(ディープ・モーション)を買収。さらに、レーザー光を用いた3次元センサーや画像センサー、自動運転ソフトウェアなどの分野にも着々と布石を打ってきた。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、シャオミ・カーの先行きを不安視する声も少なくない。「シャオミは自動車市場では新参者で、最初のモデルが成功するかどうかが極めて重要だ。もし失敗すれば、2度目のチャンスはないだろう」。財新記者の取材に応じた自動車業界のある専門家は、そんな厳しい見方を示した。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は3月6日

財新 Biz&Tech

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