EV(電気自動車)向け車載電池で世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は3月9日、2022年の通期決算を発表した。同年の売上高は3285億元(約6兆4344億円)と、前年の2.5倍に増加。純利益は307億3000万元(約6019億円)と前年比92.9%増加し、大幅な増収増益を達成した。
CATLは車載電池のほか、蓄電システム向けの電池にも力を入れている。両者を含めた2022年の容量ベースの電池販売量は289GWh(ギガワット時)と、前年の2.17倍に拡大した。そのうち車載電池が242GWhと、全体の8割超を占めている。
韓国の市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、CATLは車載電池のグルーバル市場で2022年に37%のシェアを獲得し、世界首位の座を6年連続で維持した。また、蓄電システム向け電池のグローバル・シェアは43.4%に上り、2年連続で世界首位だった。
2022年の業績を四半期別に見ると、年初から年末に向かって利益が尻上がりに伸びたことが目を引く。その背後には、CATLが電池の原材料価格の高騰に対応するため、顧客との取引形態を見直したことがある。
2023年に入って市場に激変
CATLは車載電池の販売先であるEVメーカーと交渉し、原材料価格の値上りに製品の納入価格を連動させる仕組みを2022年1~3月期の終わりに導入した(訳注:それ以前は、契約時に決めた納入価格を一定期間ごとに見直す仕組みだった)。
その結果、特殊要因を除いた四半期別の純利益は1~3月期が9億7700万元(約191億円)、4~6月期が60億7400万元(約1190億円)、7~9月期が89億8700万元(約1760億円)、10~12月期が121億7500万元(約2385億円)となり、第4四半期だけで通期純利益の4割を稼ぎ出す結果になった。
しかし、この勢いを2023年1~3月期も維持するのは困難だ。と言うのも、車載電池市場の風向きが2023年に入って激変したからだ。
中国政府は2022年末、EVの普及促進のために支給してきた補助金を(所期の目的を達成したとして)廃止した。それをきっかけにEVの販売が急速に冷え込み、EVメーカー各社は(減少した需要を奪い合う)値下げ競争に突入した。その影響で、車載電池メーカーを含むEV業界全体の業績悪化を心配する声が高まっている。
CATLの2022年末時点の電池生産能力は390GWhに上り、さらに152GWhを建設中だ。このままいけば生産能力が過剰になりかねない。そうした懸念に対して、同社は(アナリスト向けの決算説明会で)こう回答した。
「生産能力拡大の投資は、社内の厳格かつ慎重な検証プロセスを経て実行している。また、市場の現実の変化に応じて生産施設の建設計画を見直すこともあり得る」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月10日
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