小麦不使用の麺「ZENBヌードル」がSNS賑わすワケ 原料が「黄えんどう豆100%」のパスタとは?

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確かに、低糖質やグルテンフリーの食品の場合、つなぎとなる小麦粉を入れられない分、パサパサした食感になりがちだ。また大豆由来の食品は特有の豆のにおいが気になることも多い。ZENBヌードルを試食してみたが、コシのある生パスタのよう。小麦のパスタの場合ネチネチ感が気になることがあるので、むしろZENBのほうがサッパリしていて食べやすい。「ヘルシーだから」と無理して食べるのではなく、普段の食事として違和感なく食べられる印象だ。

商品の出回り以上にブランドの認知度が高まっている

ZENBのビジネスとしての特徴はD2Cという販売方法にある。D2Cは流通を介さずSNS等でエンドユーザーと直接つながり、寄せられた感想などを商品開発などに生かしていく手法のことだ。ユーザーの意見を素早く取り入れられるので、商品やサービスのブラッシュアップに活用できる。

ZENBではさらにレシピを利用者と「共創」しているところが特徴だ。利用者から寄せられたレシピアイデアを公式サイト等で公開。さらに大手レシピサイト「クックパッド」にもZENBヌードル専用のレシピが紹介されるなど、商品の出回り以上にブランドの認知度が高まっていることを感じさせる。

ミツカンホールディングス執行役員ZENB事業マーケティンググループリーダーの佐藤武氏(撮影:尾形文繁)

こうした手法の意図について、ZENBを展開するミツカングループのZENB JAPANに話を聞いた。

ZENB事業のマーケティング部門を統括する佐藤武氏によると、ブランド発想のもととなったのは2018年からのグループ中期経営計画。

サステイナブル、かつヘルシーでありながらおいしいという、「オルタナティブな食」を未来の食と捉え、その考えをリードするブランドとして、2019年、ZENBを事業化したそうだ。

そして意外なことに、最初に発売した商品は、ヌードルではなく、普段捨ててしまう皮や種、芯まで野菜を丸ごと使用したベースト「ZENBペースト」(5種類、各1620円)だという。

第1弾として2019年3月に発売された「ZENBペースト」(5種類、各1620円)。サステイナブル、ヘルシー、おいしいという、ミツカンの目指す「オルタナティブな食」を象徴する商品だ(撮影:尾形文繁)

確かに捨てていた部分まで使用したペーストはフードロス対策にもなり、野菜を食べる、素材本来の味を引き出す、という意味で、同社の考えるオルタナティブな食に適している。

また、第1弾から遅れて発売したヌードルについても同じことが言える。

黄えんどう豆は北欧や南欧、インド、中国などで伝統的に食べられてきた食材だ。小麦に比べ糖質が低く、グルテンフリーなのでヘルシー。豆本来の旨味成分がありさまざまな食材と合わせやすいほか、脂質が少なく、加工しても臭みが出ないなど、加工食品の素材としてポテンシャルが高かった。

また植物性のたんぱく源であり、食肉に比べ環境負荷を低減できるという意味でも、ZENBの目的に合致したという。

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