小麦不使用の麺「ZENBヌードル」がSNS賑わすワケ 原料が「黄えんどう豆100%」のパスタとは?

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(左)「短角牛と佐賀レンコンのボロネーゼ」。デリバリーはどうしても見た目が寂しくなりがちだが、nishではそうならないよう、ソースを多めに使う。また配達後温め直しできるよう、ソースとパスタを分けて盛り付けている/(右)「短角牛と佐賀レンコンのボロネーゼ」の盛り付け例(筆者撮影)

粗挽きの肉がたっぷり使われたボロネーゼソースは肉の旨味が凝縮されており、レンコンの歯ごたえがアクセントになっている。

「黄えんどう豆の風味が強いので、しっかりした味の赤身の肉と合う。黄えんどう豆は郷土料理にもよく使われており、煮込み料理なども相性がいい」(塩田氏)

なお、デリバリーメニューだからこそのZENBのメリットもあるそうだ。

「デリバリーではスピードも品質。そのため当店では受注してから5分以内に仕上げるようにしている。ZENBは普通のパスタのように時間が経っても伸びないし、くっつかない利点がある。あらかじめ茹でて水で締めて保管し、温めるだけで高い品質の料理を提供できる」(塩田氏)

同店ではソースとパスタを分けて容器に盛り付けている。デリバリーで届いたパスタを電子レンジで温め直すとできたての味になるそうだ。

同店の料理はZENBや短角牛など素材の単価から考えれば安いが、デリバリーとしては高め。それでも同店の立地する西麻布は「高級なデリバリー」の需要が高く、デリバリーブランドの中でも単価が2000円前後の「短角和牛ハンバーグしおた」が一番人気だそうだ。

こうして見ると、やはりもともと価格が高いだけあって、ユーザーを選ぶのがZENBの課題だ。ダイエット目的で食べ続けている人もいるだろう。佐藤氏によると、客層のメインは30〜50代、女性の比率が高いという。

現在30品以上をラインナップ

現在、売り上げの中でヌードルが大部分を占める。やはり主食として食べられることが理由として大きいだろう。

「『ZENBと言えばヌードル』というイメージにならないよう、ビジョンを伝えられるコミュニケーションを消費者と図っていきたい」(佐藤氏)
現在のZENBファンから、消費者全体に利用者の裾野を広げていくためには、流通や価格面が課題となる。

まずさまざまな機会や食べ方の好みに対応するため、ヌードル以外にも商品カテゴリーを広げており、現在30品以上をラインナップ。最近のヒットが「ZENBミール」だ。水と一緒に3分レンジで温め味つけすることで、スープやリゾットのように手軽に食べられるところが人気だ。

また2023年1月から開始した継続購入タイプの商品「ZENBコース定期」でも、1食500円以下と求めやすさ、続けやすさを訴求している。

物価が高騰し生活への不安も増すなか、ブームや物珍しさだけではものが売れなくなっている。本当に品質のよいものを粘り強く訴求していく、長い目で見た戦略がカギとなってくるだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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