「R33スカイライン」良い車なのに不評だった悲哀 今思えば洗練されたデザインとメカニズムだった

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同時に、日本の「N1耐久レース」(N1=改造範囲が限定された市販車に近いレーシングカーというカテゴリー)のためのベース車両を「VスペックN」として当初から発売。

GT-Rとしても端正なイメージが強かったR33と、モータースポーツのイメージを結びつけるのに、さまざまな努力がなされたんだなあと改めて思う。

かりに日産の開発陣が、R33のパッケージを「適切」だと思っていたら、1998年に発表された後継車種「R34」(GT-R除くベース車は全長4600×全幅1785×全高1360mm)で、ホイールベースを2665mmとR33より55mmも短くするなど、R33を自己否定しなかったはず。

日産はR33をどうしたかったのか

たしかにR34のほうが派手なスタイリングで、大向こうウケするのはわかる。じゃ、日産は結局、R33をどうしたかったんだろう。作り手の不見識ぶりが感じられてしまうのが惜しかった。

R34スカイライン 2ドアモデル
R34スカイラインの2ドアクーペモデル(写真:日産自動車)
R34スカイラインの4ドアセダンモデル
R34スカイラインの4ドアセダンモデル。R33よりもダウンサイジングされたデザインを採用した(写真:日産自動車)

R33のふつうのモデルでも、よく走った。250馬力の6気筒ターボエンジン搭載の「GTS25tタイプM」なんて、とても操縦が楽しいクルマだった記憶がある。

でも当時日産には、自社内で競合しそうなぐらい、セダンが多かった。ブルーバード、マキシマ、セフィーロ、ローレル、レパード(J.フェリー)セドリック/グロリア……というぐあい。

せっかく質感の高いモデルとして仕上がったR33だったが、企業の商品戦略のなかに埋没してしまったのが惜しい。てらいのないスタイリングなんて、いまでもじゅうぶんウケそうなのに。

Specifications
Nissan Skyline GT-R
全長×全幅×全高 4670x1780x1360mm
ホイールベース 2720mm
車重 1530kg
2568cc 直列6気筒 4WD
出力 280ps@6800rpm
トルク 37.5kgm@4400rpm
変速機 5段マニュアル
価格 454.5万円
1990年代のクルマはこんなにも熱かった
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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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