「餓死者が発生」するほど北朝鮮経済はひどいのか 中朝国境「餓死者なんて聞いたことがない」

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その結果、2022年春に契約した食糧が同年10月ごろからきちんと入ってきており、「外部が言うほど北朝鮮に食糧がないわけではない」(同)という状況だったようだ。

国連からの経済制裁中の北朝鮮にとって、北朝鮮が貿易を行えるのは実質的に中国とロシアしかない。北朝鮮はロシア産品を直接輸入しており、実際にウクライナ産の食糧を北朝鮮に送っているという話もささやかれている。

中国からの無償支援が下支え

また中国も実際のビジネスで取引されるものに加え、中国政府による「無償支援」といった形で北朝鮮に物資を供給しているのは公然の事実だ。北朝鮮と国境を接する中国・遼寧省丹東などの中国の都市を通関する物資の中には、食糧を中心に無償援助として送られたものを貿易業者が仲立ちしているという。

関係者の1人は、「兄貴分の中国としては、北朝鮮という弟分を飢えさせることは到底できない。北朝鮮としても、ミサイルを発射してアメリカとの対決を深める中、自国で餓死者なんか出してみっともないところを見せられないだろう」という。

そのうえで、量は十分ではないが貿易はしっかり続いている。コロナ禍が収束しつつあるのも追い風となり、ビジネスも徐々に安定してきたと断言する。中国は2010年代後半以降、最低必要量の食糧や日用品を供給し、北朝鮮の企業や工場などが受け取っていたという情報もある。

もらうばかりといった感のある北朝鮮も、ここに来て対外的な経済活動を拡大させるという観測が流れている。2023年3、4月ごろから外国に労働者を送る計画があるようだ。中国を中心に数万人の労働者を送っていた北朝鮮も、コロナ禍による国境封鎖で外貨が不足していることが背景にある。

ある中朝関係者は、「これまで貿易などの対外的な経済活動は、朝鮮労働党からお墨付きをもらった相対的に大きな企業が独占してきたが、これからは中小の単位(企業など)や個人でも貿易などビジネスを奨励する方向で動くと聞いた」という。

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