日経平均の一段高を期待させる「重要指標」の改善 黒田日銀下での「金融政策変更」には要注意

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そして、新型コロナウイルスの感染症法上の分類変更も日銀の政策変更を促す要因となる。政府と日銀が政策態度の足並みをそろえる必要があるという点において、新型コロナの感染症法上の分類変更が案外重要な論点になるためだ。

日銀は2020年4月から「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」というフォワードガイダンスを維持している。

だが、内閣府の月例経済報告(2023年2月)に目を向けると、すでに政策態度を示す文面に「コロナ」という3文字は見当たらない。「新型コロナウイルス感染症」という言葉が削除されたのは2022年10月であり、端的に言えば、その時点でコロナ対策は経済政策の運営上さほど重要ではなくなったということだ。

こうした事実を踏まえれば、日銀がいつまでもコロナを理由に緩和姿勢を維持する方針を掲げておくことは不自然だろう。フォワードガイダンスの修正に伴ってYCCが終了する可能性に注意したい。

この見方が正しければ日銀は3月にYCCを終了する。その際に予想される金融市場の動きは、まず何といっても長期金利上昇だ。

10年金利は潜在成長率と予想インフレ率から判断すると、1%程度を目指す展開になりそうだ。そうなると為替市場では日米金利差縮小観測から円高が予想される。もちろんアメリカ長期金利の動向次第だが、一時的に為替が大きく円高に振れ、それが日本株の下押し要因になる可能性もある。あくまで短期的な材料だが、10日の金融政策決定会合後の結果発表は要注意だ。

自動車生産の先行きには明るさも

日経平均採用銘柄の約6割、TOIPX(東証株価指数)の時価総額の約6割が製造業であることを踏まえると、株価指数を予想するうえで製造業の生産活動を把握することが重要であるのは言うまでもない。

そこで鉱工業生産に目を向けると、1月の生産は前月比マイナス4.6%と驚くほど弱く、2カ月連続の減産であった(市場予想はマイナス2.9%)。半導体不足などサプライチェーン影響で自動車が前月比マイナス10.1%の減産となった。

そのほか、欧米の景気減速を受け輸出が下向きに転じる中、生産用機械、鉄鋼・非鉄金属、プラスチック製品など広範な業種で減産となった。また、中華圏の春節が例年より早かったことで季節調整がうまく機能せず、統計上1月の弱さが誇張された可能性も指摘できる。

もっとも、先行きは欧米向け輸出財の生産が抑制される反面、日本国内の消費・投資活動が底堅さを維持するなかで、自動車生産が緩慢ながらも回復を持続することに加え、中国経済の回復と半導体市況の底入れによって緩やかな回復が期待される。

実際、2月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は2月がプラス8.0%、3月がプラス0.7%と大幅な増産計画であった。

経済産業省がバイアスを補正した2月の予測値はプラス1.3%と予測調査対比でかなり控えめだが、季節調整の歪みを勘案すれば上振れ着地も想定される。

そうした中で輸送機械工業の生産計画は2月が前月比プラス12.6%、3月がプラス5.2%と大幅増産が示されたことは安心材料だ。サプライチェーンの乱れはいまだ解消していないが、快方に向かっていることに間違いはない。自動車生産に牽引され全体の生産活動が回復すれば、日本株は明るい。

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