「月給●●万円以上」の求人にだまされる人の盲点 労働者を安くこき使う問題企業の正しい見分け方

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求職中ということは、先立つものがない状態で、早く収入源を確保したいという焦りが強い。次の仕事場を探す苦労を考えたら「まあ、この条件でもいいか」と妥協する気持ちが芽生え、ブラック企業を甘んじて受け入れてしまうのである。

ブラック企業が使いがちな求人ワードといえば「各種手当付き」。いろいろな手当が付いて高収入をうたう求人内容だが、実はこれも、フタを開けてみたら大きなワナということが多い。

各種手当付きの文句に惹かれて雇用契約を結んだタカムラさん(仮名)は、初月の給料を受け取って驚愕した。基本給16万円に「職務手当」が2万円、「時間外手当」の2万円、合わせて20万円の初任給だったのだ。しかし残業時間は少なく見積もっても月30時間に達しているから、残業代がもっと入っていないとおかしい。

上司に尋ねたところ、「職務手当と時間外手当が残業代に相当している」というまさかの回答が。雇用契約時の内容を見返すと、確かにそう書かれている。「契約書に書いてあるなら仕方ないか」と渋々諦めるタカムラさん。しかし、残業代に相当している4万円に対して、残業時間があまりにも長ければ、最低賃金を大きく下回る残業代しか受け取れていないことになる。労働基準監督署や個人加盟の労働組合、労働弁護士などの然るべき機関に相談すれば、差額分を請求することも可能だ。

とにかく求人情報を保存、面接もできれば録音

危険な求人広告の話を始めたらキリがない。手を替え品を替え、あらゆる手段を尽くして求職者を呼び集めようと、雇う側は「映える求人広告」への知恵を絞ることだろう。彼らも必ずしも労働者をだましたいと思って、求人を大げさに書いているわけではないかもしれない。人材不足をなんとしても解消するために、良かれと思って誇張した求人情報を掲載する会社もある。

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